「農民」記事データベース20030303-576-13

演劇

モリエール喜劇の傑作

文学座「ドン・ジュアン」


 文学座がモリエールの「ドン・ジュアン」を、渡辺徹の主演、西川信廣の演出で上演します。モリエールはシェイクスピアと並ぶ世界演劇史上の巨人といわれ、フランスでは、コルネイユ、ラシーヌとともに三大古典劇作家に数えられています。その代表作「ドン・ジュアン、もしくは石像の宴」の初演は一六六五年でした。作者はこのとき四十三歳、作家としての力量と気迫の最も充実した時期の作品で、「タルチュフ」「人間ぎらい」とともにモリエールの三大傑作喜劇のひとつに数えられています。文学座では一九七四年の江守徹による上演以来、二十九年ぶりになります。

 物語の主人公ドン・ジュアンは伝説の放蕩(ほうとう)貴族。彼は若い妻・エルヴィールを捨てて、新しい冒険を求め、従僕のスガナレルと共に旅に出かけます。二人の旅は険しく、危うく海で溺れ死にするところをピエロという農民に助けられます。ところが、ドン・ジュアンはこの命の恩人の恋人・シャルロットに一目惚れ。早速、結婚を約束します。しかし、そこに現れたのはドン・ジュアンと結婚の誓いをしたという娘・マチュリーヌ。とどのつまりは、二人に攻められて逃げ去っていくことになります。

 ドン・ジュアンの渡辺徹さんは明るい持ち味とコメディセンスを発揮してきました。「とにかく楽しんでいただける舞台をめざし、演出の西川さんはじめ、出演者一同張り切っています。ぜひ皆さんも、期待して待っていてください」。また、スガナレルの清水明彦さんも喜劇を得意としています。「あまり意気込むとロクなことがないので、平常心が大切。肩の力を抜いた、たくさんの出会いを求めて、ふわっと飛び上がるとスーパーパワーで雲の上までいけるかも…」。

 出演はほかに奥山美代子、古川悦史、山谷典子、太田志津香ら多彩な顔ぶれです。訳・鈴木力衛、脚本・野田治彦。

(鈴木太郎)

*3月12日〜20日、東京・三軒茶屋・世田谷パブリックシアター。連絡先=文学座 電話03(3351)7265

(新聞「農民」2003.3.3付)
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2003年3月

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