「農民」記事データベース20030127-571-09

演劇

現代家族の危機描く

木山事務所「現代・娘へんろ紀行」


 最近、四国のお遍路がクローズアップされていますが、人はなぜ、お遍路に出かけるのでしょうか。木山事務所が上演する「現代・娘へんろ紀行」は、巡礼に出かけた人びとの姿をとおして、現代社会における家族の危機、一人ひとりの人生を考えるという作品です。高知出身の劇作家・小松幹生の書き下ろし、〇三年の毎日芸術賞(千田是也賞)を受賞したばかりの高瀬久男(文学座)の演出です。ともに木山事務所には初登場。

 物語の展開は若い女性記者・佳恵からみた現代家族考を軽やかなドキュメントタッチの手法で描かれていきます。ある家族の父、母、息子の三人がそれぞれの問題を抱えて、遍路姿に変えてばらばらに四国のへんろ路に現れます。その家族三人が、とあるへんろ宿で偶然に出会います。そこから、現代社会のひずみのなかで、家族崩壊の危機に直面した様相が浮かび上がってきます。出演は、主人公の若者に木山事務所の広瀬彩(佳恵)と長谷川敦央(若い男・堀内翔)が抜擢されました。客演には一柳みる、八木昌子、立花一男ほかを迎えています。

 広瀬彩さんは、このところ「三人姉妹」「桜の園」などで大きな役をこなし注目を集めています。「このお芝居が決まってから、四国を旅してきました。松山から高知へ、そして足摺岬にもいきました。寺などをお参りして、本物のお遍路さんをみて、これまで遠い存在だったものが身近に感じとることができました。舞台では“妙なお遍路さん”が多く登場しますが、巡礼することで心が治癒されていきます。その微妙な変化がじわじわと伝わるいい芝居にしたい」と語ります。

*2月6日〜15日、東京・六本木・俳優座劇場。連絡先=木山事務所 TEL03(5958)0855

(鈴木太郎)

(新聞「農民」2003.1.27付)
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2003年1月

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