「農民」記事データベース20030127-571-08

北の大地“農”にかける夢

小林祥史さん 百合子さん

 若い二人が北の大地に根を張って、農業を始めました。その二人とは、小林祥史さん(27)と百合子さん(25)。どちらも非農家の出身ですが、農業にかける思いは人一倍の二人です。

 小林さん夫妻がミニトマトを栽培しているのは、札幌からほど近いフルーツの町、仁木町。今は、ミニトマトのシーズンオフですが、素敵なログハウス風の新居におじゃまして話を聞きました。


 祥史さん――きっかけは母親の産直運動

 祥史さんが農業に興味をもったきっかけは、母親が取り組んでいた新婦人と農民連の産直運動です。高校生の時に農業をやりたいと決意してから八年を費やし、ついに一昨年、仁木町に入植しました。

 学生時代から水田農家に住み込みながら、農作業と勉学に励んできた祥史さん。卒業後も三年間農業実習を経験し、水田や野菜の農作業をするなかで、新規就農するならやっぱり集約的なものから始めようと、ミニトマト栽培に決めました。

 そして、定年退職した両親や兄弟の協力もあってなんとか経営のメドが立った矢先に、なんと花嫁もゲット!――そんなうれしいニュースが届いたのは、昨年十一月のことです。

 百合子さん――好きなトマトを作ることが幸せ

 お相手の百合子さんは白老町で栄養士の仕事をしていました。「仕事をするうえで、安心できる素材について勉強したいし、大好きな野菜についても知りたい」と、事務所を訪ねてきた百合子さんに、祥史さんのところを紹介して、二人を引き合わせたのも農民連です。

 百合子さんは、昨年七月ころから八十キロの道のりを毎週のように通い始めました。そして、いつしか二人の間に愛が芽ばえ、真剣に農作業を手伝ってくれる百合子さんに祥史さんが猛烈にアタック。ついに最短でのゴールインとなりました。

 「一番好きなトマトを作り、食べることが幸せ」と、はにかむ百合子さん。話を聞いている間にも、トマトジュースを注文する電話が次々とかかってきます。二人は冬の間、ミニトマトジュースを販売しており、そのラベルは百合子さんの手作りです。

 「これからは、ミニトマトの収穫が始まる前に収穫できるアスパラや葉物野菜を作ろうか」「趣味の範囲内でブドウやプルーンも作っていきたい」と夢を語り合っている姿に、少々あてられながらも、厳しい農業環境の中でがんばる二人に、うれしさがこみ上げてきました。

(北海道農民連 野呂光夫)

(新聞「農民」2003.1.27付)
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2003年1月

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