「農民」記事データベース20030127-571-07

21世紀への挑戦

誰でもできる無農薬・有機稲作(7)

稲葉 光國


抑草成功のポイント――畦畔整備と代かき法

 慣行栽培から無農薬・有機栽培に切り替えた当初は濁りもウキクサも繁茂しません。また、トロトロ層も形成が不十分ですから二回代かきを行います。さらに、田植え当日か翌日に米ヌカペレット四十キロとクズ大豆四十キロを投入し、深水管理を徹底します。

 成功するためには深水管理が確実に実行できるように畦畔整備をきちんと行い、二回代かきに特別の注意を払うことです。

 一回目の代かきは五月上旬に水を五センチ程度入れ、ドライブハローを高速で回転させ、ゆっくりと行います。この作業でコナギなどの雑草の種子が水田の表面に移動し、そのまま湛水しておくと五月中旬には雑草がいっせいに発芽してきます。雑草の発芽を確認してから二回目の代かき(植代)を行い、雑草を練りこんでしまいます。

 二〜三日で土が落ち着いてから田植えを行い、米ヌカとクズ大豆を投入します。ただし、コナギは水温十九℃になってから発芽し始めます。代かきから百五十日度(日数×温度、水温二十五℃なら六日、三十℃なら五日)で種子根が一cmになりますから、その二〜三日前に投入しないと効果はありません。

 東北寒冷地や高冷地では水温の測定を行い、水尻の水温が二十℃になったらすぐに散布するようにして下さい。なお米ヌカは、そのままだと均一な散布が難しく、溶存酸素が少なくなって水生動物に悪影響がでますから、市販のペレット成形機でペレットにしてから散布して下さい。

 減水深が一日一cm未満の湿田など、水田によっては米ヌカペレットとクズ大豆を投入しても効果がなく、次々とコナギが発芽し全面を覆う場合があります。こうした水田では、緑肥またはスズメノテッポウなどの雑草をすき込むか、代かき前に米ヌカを二百キロ前後投入して早期湛水(遅くとも三月中)を行い、トロトロ層をつくることが必要になります(次回で詳しく述べます)。

 確実に成功させるためには、四・五葉以上の成苗をつくり、減水深が二cm前後の水田を選んで三十日間八cm以上の水深を確実に保てるように畦畔の整備を行い、試験栽培を行って下さい。

(NPO法人民間稲作研究所 代表)

(新聞「農民」2003.1.27付)
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2003年1月

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