「農民」記事データベース20030106-569-03

小岩井農場まきば園の小羊


 「世界中には三千種の羊がいて、日本と朝鮮半島以外のほとんどの国で家畜として飼われています。せっかくですから羊のことをもっと知ってもらいたいですね」――。

 岩手県雫石町で二百五十頭の羊を飼う小岩井農場。羊の飼育を担当している濱戸(はまと)祥平さん(36)はこう言います。

 季節繁殖動物である羊のお産は、二月から三月に集中します。まっ白い毛に覆われた子羊の、黒く澄んだ瞳が愛くるしい。小岩井農場では、換気や清潔な敷き料など、羊が安心してお産できる環境に気を配りながら、過保護にならないように心がけています。

 子羊たちは、春の訪れとともに放牧に出され、十一月下旬まで広々とした牧場で育ちます。そして、寒くなってから毛を刈るのが”小岩井流”。

 春に毛刈りするのが一般的ですが、「日本の冬の寒さなら、毛がなくてもヘッチャラ」で、秋に刈るほうが良質のウールになるそうです。

 「ところで、ヘアー(獣毛)とウールの違いって分かりますか?」と、濱戸さんからの質問。

 答えは、ヘアーは夏毛冬毛というように生え替わる直毛、ウールはその下に生えているうぶ毛だそうです。羊は、一万年という長い年月を人間に飼われるなかで、白くて細いうぶ毛をたくさん持つように改良されてきました。

 「例えば、雫石には雫石の羊というように、世界には、その土地に合った羊がいて、羊の文化があります。小岩井で産まれた羊には、大切な生命が人間の役に立つような飼い方をしてあげたいですね」と、濱戸さんは語っていました。

(新聞「農民」2003.1.6付)
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2003年1月

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