「農民」記事データベース20021230-568-07

12・4集会 ルポ

農政への怒り 込み上がる

岩手県 北舘 賢(農民連サポーター)

 小学校教師をしていた岩手県の北舘賢さんは在職中、子どもたちの農業学習に力をいれてきました。退職後も農村ルポなどを盛岡民主文学に投稿しています。農民連には十数年前に加入、「農民連のサポーター」を自負しています。「12・4集会」に参加した北舘さんから寄せられたルポを紹介します。
(編集部)


 岩手農民連の一行三十九名は、十二月三日の夜行バスで「12・4」の怒りの集会に向け出発した。午前三時、東京・江戸川区の東京健康ランドに到着。大広間で仮眠をとり、六時の朝食後もまた眠る。

 八時、農水省をめざして出発。ラッシュにぶつかり一時間半かかり農水省前に到着したが、一番乗り。さっそく岩手農民連の旗を立てたり、タオルでほっかぶりしたり、ケラ(蓑)を着たりした。

 十時近くになると、福島農民連、茨城農民連、ジ賀農民連等々の旗が数十本、農水省前に立ち並ぶ。数百人の農民が歩道を埋め尽くす。十時三十分、集会が始まる。「米つぶしの最悪の改革大綱に対し、全国津々浦々から反撃のノロシをあげよう」と、農民連佐々木健三会長の力強いあいさつ。

 「国民の主食・米を守れ」「田んぼを守れ」「ふるさとを守れ」「地域経済を守れ」「日本の農業を守れ」「われわれは最後までたたかうぞ」と、全員が農水省へ向かって声高らかにシュプレヒコールをした。米政策大綱に対する怒りを大声で叫び続けた。集会後、分かれて農水省などと交渉。私は、米の交渉班に入り、農水省五階の会議室へ。人員制限があったが、夜行バスで来て、農水省前の歩道に立っていてもしょうがないと無理無理部屋に入った。

 要請事項に対する農水省の担当者は、木で鼻をかんだような心のこもらない回答がお経のように続いた。聞いているうちに怒りが込み上げてくる。

 参加者は「北海道では大規模農家から倒産している」「茨城では麦・大豆に転作するために五千万円も設備投資した。それなのに転作奨励金を削減するとは」と、農家の実情をふまえ米政策大綱の矛盾を次々に訴え、怒りの声をあげ、追及した。

 午後は日比谷野外音楽堂での雨の中での集会だった。主催者のあいさつ、各団体の決意表明が力強く行われた。ぶるぶる震えながら昼飯を頬張った。雨はだんだん激しくなってきた。引き続き、公務労組連絡会の参加者も含め二千名近い集会になった。集会後、五台のトラクターを先頭にデモ行進に移った。雨の中、寒さに負けない気で大声でシュプレヒコールを続けた。

 解散後、バスに乗り岩手に向かった。体を温めるために、直ぐさま焼酎で酒盛が始まった。飲むほど酔うほどに農政に対する怒りの言葉が飛び交った。盛岡に到着したのは四日を過ぎ五日になっていた。

(新聞「農民」2002.12.23・30付)
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2002年12月

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