21世紀への挑戦誰でもできる無農薬・有機稲作(5)NPO法人民間稲作研究所 代表 稲葉 光國
稚苗から成苗へ――プール育苗のすすめ昔から苗半作と言って、プロの農家は苗づくりにさまざまな工夫をこらしてきました。無農薬・有機稲作では苗七分作と言っても良いくらい、苗の良否が抑草技術や本田での生育に決定的な影響を与えます。根の少ない稚苗では、田植え直後、イネミズゾウムシに加害されると大きな被害を受けます。ところが、四・五葉令以上の成苗では根数が稚苗の約五倍になり、新しい根が次々に発根する生育段階に入っているため、加害があっても生育停滞を起こさず乗り切ってしまいます。また、ヒエの防除のために八センチ以上の深水管理を行っても、徒長して緑藻類に倒されるといった心配もなくなります。 そのほか、茎が太くなるために倒伏に強く、穂も大きくなって収量が上がる。障害型冷害にも強くなるなど、稚苗では避けられない各種障害を受けないため、低コスト・省力の無農薬栽培が可能になってきます。 ただ、育苗期間が稚苗の二十二日と比べて、三十五〜四十日と長くなるため、育苗管理が大変という印象がありました。しかし、プール育苗を行えば問題はなくなります。小生は六十キロ離れた場所で苗を育てていますが、田植えまでに三回足を運ぶだけで済ませています。
育苗に必要な作業の流れは表のようになります。遅くとも三月中旬に塩水選を済ませ、完全に乾燥させてから温湯処理を行います。床土は粒状培土に硫安およびCDU、過石、硫酸カリを用い、一箱あたりの成分で窒素二グラム、リン酸六グラム、加里二グラムを混和し、水分五〇%に調整して箱詰めします。 有機質一〇〇%の床土では有機酸の発生しにくい資材を用い、水分五〇%で一次発酵を充分させてから粒状培土と混和し、使用するのが安全です。詳しくは当研究所発行の「無農薬・有機栽培のための育苗技術」をご覧下さい。 (NPO法人民間稲作研究所 代表)
(新聞「農民」2002.12.23・30付)
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[2002年12月]
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