北海道農民連が道庁・JA道中央会、ホクレン、信連と交渉稲経や転作奨励金の廃止許せない!
「一俵三千円の米価で、どうして農家が暮らしていけるのか」「北海道の稲作の百三十年の歴史が閉じかねない危機だ」――。北海道農民連が十一月二十一、二十二日に行った道庁、JA道中央会、ホクレン、信連との交渉には、全道から約六十人の農民が参加。農家の窮状を訴えるとともに、国が進める「米政策見直し」に対して、農家の要求にそった要望書をあげるよう求めました。 「稲経や転作奨励金の廃止は絶対に許せない。断固とした態度で国に要望してほしい」。こう訴えた比布町農協監事の東昭吉さんは、知人から債務の保証人になってくれと頼まれているといいます。米価の暴落と不作で収入が減っているなかで、「年末の支払いをひかえて、いつ自殺者が出るか分からない」と危機感を募らせる東さん。政府が進める“米つぶし政策”は、こうした事態をよりいっそう深刻にするものです。 「北海道の稲作を切り拓いてきた先人の血と汗を踏みにじってなるものか」と、堀梅治さんは言います。当別町で二十ヘクタールの水田を耕作する堀さんの風雪に耐えて営農を続けてきた顔が怒りに震えます。「米輸入自由化反対のたたかいに匹敵する運動をしよう。行政や農協、農民団体、消費者団体が一体となった運動の先頭に立ってほしい」と道庁に迫る堀さんは、地元の当別町で、農協や土地改良区、共済組合など六団体から「北海道の稲作を守る」要望書への賛同を集めました。 全国一の米産地で、政府が“担い手”と位置づける主業農家の割合が群を抜いて高い北海道。今、“米つぶし政策”に対する怒りが燎原の火のように広がっています。 空知中央農民組合の井上耕太郎さんは、美唄市、岩見沢市、峰延町、月形町の四つの農協をまわりました。井上さんは「どこもわれわれの要請を待っており、快く賛同してくれる。農協の米販売は計画の六割程度に落ち込み、危機感が強い。MA米の輸入はけしからんと公然と言う。今が日本農業の盛衰を決める剣が峰だ」と力を込めます。 北海道農民連の白石淳一委員長は、「われわれ農家の窮状は、傍観していても、嘆いていても解決しない。われわれに残された道は、たたかうことだ。今こそ火事場のクソ力を発揮しよう」と、意気高く訴えました。
「転作奨励金の廃止」金融分野で先取り農家への融資“貸し渋り”米政策の見直しのなかでも、もっとも農家の反発が強い「転作奨励金の廃止」。ところがこれが金融の分野で先取りされ、農家への融資の“貸し渋り”や“貸しはがし”が行われています。問題の融資は、農家負担軽減資金。同資金を借りるには、農家が営農改善計画を立てることが条件ですが、その計画には〇五年から転作奨励金を見込んではならないことになっています。 食糧庁は、転作奨励金に替えて「産地づくり推進交付金」を措置するといいますが、これがどれくらいの助成水準になるか、まったく不明。生産調整研究会のなかでも、「安心して営農できる水準なのか、ペテンにかけられたというものになるのか」と不安の声があがりましたが、食糧庁の回答は「翌々年のことなので明言できない」と、とぼけたもの。 しかし、金融分野での先取りは、「ペテンにかけて」まずは制度をつくり、後で予算にバッサリ大ナタを振るうという危険なねらいを如実に現しています。 北海道今金町で十八ヘクタールの水田を耕作し、三百五十万円の転作奨励金を受け取っている村本照光さんは、「融資を受けられないことも問題だが、今はこのねらいを大いに暴露して、転作奨励金の廃止を阻止したい」と語っています。
(新聞「農民」2002.12.9付)
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[2002年12月]
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