米「改革」には絶対反対北海道ふらの農協 奥野岩雄組合長に聞く
金をかけない、それでいいのかいま政府が進めている米政策の見直しは、日本の農業・米づくりをどう発展させるかという発想から出てきたものではありません。単に農政は金がかからなければいいというところから出てきたもの。こんなことがやられれば水田地帯の農村は崩壊します。稲作は日本農業の根幹であり、絶対反対です。 富良野はかつて、水田からタマネギやニンジンなどの露地野菜に転換し、成功したと言われてきました。今、その先進地が輸入農産物との競争にさらされています。今年、全道で四万八千トン、ふらの農協でも七千トンのタマネギを産地廃棄せざるをえませんでした。 政府の言うとおりに転換したのに、輸入の急増は野放しにし、“後は野となれ、山となれ”という。農家の生活や地域経済のことなどはまったく眼中にありません。 米についても、政府はミニマム・アクセス米の影響はないといっています。しかし、海に捨てたわけでもあるまいし、影響がないなんてことは絶対にありえません。 北海道は今年、米はたいへんな不作でした。特に上川管内がひどく、その中では比較的よかったふらの農協でも、米の扱い量は前年比で八七%に落ちました。しかし不作にもかかわらず、価格は一俵六百円から八百円の下落です。 財界のなかには「日本に農業はいらない」と考えている人もいるでしょうが、国民はそうではありません。「農業は必要だ。子や孫に安全・安心なものを食べさせたい。食料は可能な限り国内で生産するのが望ましい」と思っています。国は、農業を産業として存立させる責任があります。 農家が朝から晩まで、まっ黒になって働いても、食べていけない状況は「農政不在」といっても過言ではありません。
腰をすえて農業を発展させる農政を私は今度の見直しで、転作助成金が、五割、六割に減らされるのではないかと危惧しています。しかし農家は、この助成金で土地改良の賦課金などを払い、農地を維持しています。これを削ることは農村を崩壊に導くものです。 豊かな稔りをもたらす水田は、国民全体の財産です。国はこれを整備するのにたくさんのお金を投じてきましたが、同時に農家も多くの借金を背負ってきました。政府が「水田はいらない。助成金はなくす」というのなら、農家の借金も棒引きにすべきです。そうでもしなければ、まじめに精いっぱい努力してきた農家が救われません。 農業は一度崩れてしまえば、元に戻すのはほとんど不可能でしょう。そういう農業という産業の特質からいって、私は、農産物の価格保障が必要だと思っています。農政は、効率が悪く、金がかかるもの。それをわかったうえで、しっかりと腰をすえて、日本の農業を発展させる農政を行ってほしいと思っています。
(新聞「農民」2002.12.9付)
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[2002年12月]
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