21世紀への挑戦誰でもできる無農薬・有機稲作(2)NPO法人民間稲作研究所 代表 稲葉 光國
無農薬・有機稲作の最前線――新しい抑草技術――無農薬・有機稲作にとって最も大きなテーマは除草問題でした。除草剤は、お米に残留しないから使っても問題ないと考える方が多いと思います。しかし、環境汚染という点で最も大きな影響を与えたのが除草剤でした。 一九九四年(平成六年)まで稲作に使われていたCNP剤等に不純物としてダイオキシンが含まれていたのです。 ダイオキシンは代かき水とともに河川や湖沼に広がり、水道水まで汚染し、胆嚢ガン発生の原因として疑われ、今はダイオキシンを含まない除草剤が使用されるようになりました。 しかし、化学合成物質である以上、自然界への影響がないとは言えません。人類の未来を考えた場合、除草剤を使わない稲づくりを開発しなければならないと考えた農家や研究者の方々が様々な方法を開発してきました。 良く知られているのがアイガモ農法や紙マルチ農法です。しかし、この方法だけでは無農薬・有機稲作を一般に広く普及するには限界があります。第三の方法として考えられたのが深水管理、緑肥すき込み、米ヌカ・クズ大豆投入法などでした。 この新しい除草技術は水田に発生する雑草を、(1)湿生雑草、(2)水生雑草、(3)宿根性雑草、(4)浮遊性雑草の四つに分類し、それぞれの発芽生長特性に応じて抑草するという方法です。 (1)湿生雑草の代表はヒエですが、これは深水管理で容易に抑制が可能です。(2)水生雑草の代表がコナギで被害の大きい強害雑草です。これも緑肥や米ヌカ・クズ大豆等で抑制できることがわかってきました。(3)宿根性雑草の代表であるオモダカやクログワイは繁殖が遅いので手取りでも対応できる雑草です。(4)最後の浮遊性雑草であるウキクサや緑藻類などは、水田の表面を覆ってコナギの生長を抑制したり、過剰な養分を吸収して水質を浄化したりしていることがわかりました。 今まで除草剤やアイガモ、紙マルチなどを使わなければ不可能と思われていた雑草防除がコストも労力もかけずに可能であることが実証されるようになってきたのです。 (NPO法人民間稲作研究所 代表)
(新聞「農民」2002.11.25付)
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[2002年11月]
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