「農民」記事データベース20021104-561-02

来年は固定資産税基準年度評価替え

農民連は“引き下げ”などで総務省交渉


 農民連は十月二十四日、来年の固定資産税基準年度評価替えにむけて、固定資産税の引き下げなどを求めて、総務省と交渉しました。農民連からは固定資産税・相続税対策部の山口和男部長をはじめ、茨城、東京、神奈川、愛媛、宮崎などから十五人が参加。総務省からは固定資産税課の山口祥義課長補佐らが応対しました。日本共産党の春名眞章衆院議員も同席しました。

 参加者は「すべての農業用施設用地を農地なみ評価課税にすること。総務省が造成費の参考例として東京都二十三区の造成費を示して通知しているが、茨城では実態を無視して一律に造成費を加えてきている」などと、事例を示しながら「地域の実態に合わない指示は改善してほしい」と要求しました。

 これに対して総務省側は「造成費は実情に即して計算するべきだ」とする「通知」を今年九月九日に、総務省自治税務局資産評価室長名で出したことを明らかにしました。さらに、居住用敷地と農業用施設用地が一区画になっている場合でも、居住用敷地と農業用施設用地がそれぞれ生垣などで区切られていれば、農業用施設用地部分は農地なみの課税となることを言明しました。

 畜舎や堆肥舎、農業用倉庫などに家屋なみの固定資産税を課税するなとの要求に対しては、総務省側は「農業用施設は登記しているのか、していないのか、木造か鉄筋かなどで判断するものではない」としたうえで、農業用施設か家屋かの判断基準(通風止めがなされているかどうか)は、これまでと変わらないことを表明しました。

 市街化区域内農地の固定資産税が、標準小作料を大幅に上回っている問題では、標準小作料以下に軽減するよう要求しました。

 この問題では、農民連は二〇〇〇年七月十九日に自治省と交渉した時に、「小作地に課する固定資産税額等が小作料を上回る場合について(未定稿)」と題する文書を入手。その文書の中には、「固定資産税と都市計画税の合計額が小作料を超える金額を軽減するかどうかは、各市町村長の判断により行われる」と明記されています。総務省側はその判断はいまも変わっていないことを明らかにしました。

 参加者は、「市などと交渉してきたが、未定稿だからできないといわれてきた。どうなっているのか」とつめより、「未定稿で示した判断がいまも変わらないというのなら、本通知として出してほしい」と要求しました。山口課長補佐は「未定稿で示した判断は変わらない。それをどのように周知徹底していくかは、検討させてもらいたい」と答えました。


和歌山市の貴志正幸さん(44)の話

 いま稲刈りの真っ最中なので総務省交渉に参加できず残念でした。

 私は何の迷いも心配もせずに先祖からの農地(約三ヘクタール)を耕作しようと一九八一年に就農しました。その十年前の一九七一年に農地が市街化区域にすっぽり組み込まれ、住宅がぽつぽつと建ち始めました。まさか大都市圏のように固定資産税によって農業から追い出しをかけられるとは、夢にも思わずに就農したのです。

 就農した当時の農地(田畑)への固定資産税は十万円に届かない金額でした。ところが、来年には三ヘクタールの農地にかかる固定資産税・都市計画税は、これまでどおり一〇%上昇すると、二百万円を超えてしまいます。しかも、その大半が半湿田の水稲しか作れない田です。まさに農業をやめよという高い税金です。国はぜひ対策をとっていただきたい。

(新聞「農民」2002.11.4付)
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2002年11月

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