読者からのお便り
食の安全に消費者も確かな目を千葉県 千久田祐子わが家は新婦人で取り組んでいる産直野菜を食べています。旬のものを工夫しながら食べる努力が必要だということを最近、感じます。食の安全性が問われている今、消費者がきちんと判断できる確かな目をもつことだと思います。
亡き母への思い出岩手県 佐藤満芳母が逝って二年になりますが、先日、墓参へ行きました。母が嫁いできたのは、東北が凶作に見舞われた昭和九年(一九三四年)。間もなく長男(私の兄)を出産しました。貧乏のなかで、父は出征してしまい、兄は小学校低学年の時に小児マヒ(悪性)に似た病気にかかりました。地元の病院医師から仙台の東北大学医学部付属病院を紹介され、行ったのですが、高額な医療費に母は絶句。地方病院に入退院を繰り返しましたが、歩行困難になり、小学四年の半ばにして退学しました。兄はもとより母も無念な思いをしたことでしょう。 兄は九年前に下半身不髄のまま他界。今度は妹もくる病に似た病気に。仙台の同じ病院を紹介されたようでした。妹は地方病院でのリハビリなどで、なんとか回復したようです。 母は、私が農業問題など国民的な政治課題で東京に行ったり、原水爆禁止世界大会や農協問題研究集会などに出かけるとき、「気をつけて」と声をかけてくれました。また他県の選挙応援に自動車で行くときも、「車の運転にはくれぐれも気をつけて」と、快く送り出してくれたことが脳裏にうかびます。 母は晩年、腰がだいぶ曲がりながらも、亡くなる直前まで田畑の仕事を手伝ってくれました。辛苦のなかで障害者(児)を育ててきた母は、八十三年の波乱に満ちた生涯をおくりました。 生前の母は毛筆やペン字をやり、俳句や短歌をつくり、旅行などが趣味でした。また、近所の人たちとのお茶のみ話も楽しんでいました。 母は農業が守られ、障害者も生きていて良かったといえる世の中を願っていました。
大好きな洋梨の無害を信じたい東京都 榎本愛子「旬の味」(9月23日付)を読みました。私の小さい頃は「貧しくて…」と言っても、日本は戦争をしていたので、日本中が貧乏でした。今リッチな物にあこがれる年代になってしまいました。 贈り物には、ラ・フランスを送っています。この「旬の味」を読んだら「毒を売っているみたい」という知事の発言にびっくりしました。農家の方々のご苦労はいかばかりでしょう。そして実態はどうなのでしょうか。 牛肉に次ぐ、ハム。なんでも疑いたくなりますが、でも大好きな洋梨のラ・フランスは無害を信じたいです。
妖怪に搾取される農民の無念千葉県 住田ふじえ古書店でたまたま買った灰谷健次郎著『いま、島で』という本を読んでいたら、こんな記述がありました。「労力がほとんど計算されずに農作物の値がつけられ、その上、流通機構というえたいの知れない妖怪に搾取される農民の無念の声に耳をかたむけない世界はあきらかに病んでいる」。これはなんと一九八二年のことです。二十年たっても日本の社会は進歩どころか、今や瀕死の状態になっているなんて、本当に悲しい。
(新聞「農民」2002.10.7付)
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[2002年10月]
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