今、農民連の真価を発揮する時全国研究交流集会
“ものをつくってこそ農民”の真価を発揮し、農業・農村・食糧を守る共同を広げ、農村での多数者への挑戦を今こそ――下町人情ただよう東京・浅草で、八月二十七日から三日間、「二〇〇二年農民連全国研究交流集会」が開催されました。北は北海道、南は鹿児島まで全国から二百二十人が知恵と力を持ち寄って参加。会場には熱気があふれました。
「元気をもらえて良かった。純粋な気持ちと誇りをもう一度とりもどしたい」(新潟・熊倉幸子さん)「家族農業の破壊は絶対許せない。地域に帰って話していきたい」(岩手・柴田純一さん)。農民連のたたかいが一つの国会で、BSE特別措置法、食品衛生法の改正と二本の法案成立にまで発展した一方、農業つぶしの総決算ともいうべき生産調整研究会の「中間とりまとめ」が発表されたなかで開催された今回の交流集会。
農協、自治体に足運び共同を一日目は、たざわこ芸術村民族芸術研究所の茶谷十六さんが、江戸幕末に唯一全面勝利した岩手の農民一揆「南部三閉伊(さんへい)一揆」のたたかいを講演。すばらしい「南部牛追い唄」の披露で始まった茶谷さんの講演はユーモアあり、ドラマあり。「貧しいだけではない。生産人民としての誇りが、たたかいに立ち上がらせた」と語り、農民連の運動にも通じる心意気が大きな感動を呼びました(6面)。 つづいて真嶋良孝副会長が「米『改革』に対する見解と提案、運動方向」をテーマに報告。米「改革」のねらいが、米と農業の大企業支配、輸入自由化の総仕上げにあることを豊富な資料をもとに明らかにしました。 二日目には、笹渡義夫事務局長が本部報告(3〜5面)。この間の農民連の前進は、要求を基礎にたたかう全国センターだからこそ成しえたことを強調し、「日本の米と田んぼを守れ」の国民合意・世論を広げる取り組みや、すべての地域で農協や自治体に足を運んで農村での共同を広げる取り組みを提案。同時に「ものを作ること自体が重要なたたかいであり反撃になる」と訴えました。また食品分析センターの機能強化のための二千万円カンパを呼びかけました。
多彩な取り組みに元気が出た特別発言では、鹿児島県連の宮地利雄さんが「これまでの延長ではない県連にしようと、専従者がいないにもかかわらず、一年間、毎週必ず事務局会議を開いてニュースを発行。BSEではせり市で宣伝し、ビラが農家の手から手へ広がった。また革新懇でシンポを開催し、農民連の存在を大きくアピールできた」と発言したのをはじめ、大分県連の阿南勝也さん、奈良県連の大塚雅志さん、千葉県連の大木伝一郎さんが発言しました。 また食品分析センターの石黒昌孝所長が、輸入がゼロに至った冷凍ホウレンソウ分析など、分析センターの活躍を報告したほか、今後さらに二千万円カンパを成功させ、米の重金属分析など機能を強化していくことを提案。さっそく会場で二十五万円が集まりました。 討論は「米と生産流通」「税金」「固定資産税」「組織づくり」に分かれての分散討論と、全体会が行われました。 「もの作りをよびかけたところ、予想を上回る人数が参加して佐久楽農クラブに発展。兼業農家から高齢者まで、意欲満々で生産に取り組んでいる。トウモロコシ・スーパースイートきぼうも今年は六万本出荷した」(長野県・土屋さん)。「消費者が運営する生協の空き店舗での生鮮市に出荷して一年。地域でかけがえのない存在に」(東海ネット・吉川さん)。「百人をこえる参加でBSE県民の会を発足し、シンポを開催」(静岡・森島さん)、「今年から標準が廃止に。税金相談会に参加した人を訪ねて会員を拡大している」(茨城・初見さん)「来年は固定資産税の評価替え。取り組めば必ず下がり、こんなに楽しい取り組みはない」(岡山・黒岡さん、大阪・山口さん)など、多彩な発言が続きました。 一日目の夜には、各地の農産物を持ち寄って大懇親会が開かれ、米卸、米屋さん、市場関係者など、これまでにない多彩な参加者で、大いに盛り上がりました。
(新聞「農民」2002.9.16付)
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[2002年9月]
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