「農民」記事データベース20020909-553-10

体験学習にとりくむ

東京・正則高校の先生に聞く

農業体験通じて食への関心高まって

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   ナスのトゲに驚きながら真夏の福島で体験
   「なかなかやる」と関心
   中身の濃いものでした

 四年前から保育、農業、医療、介護などの体験学習に取り組んでいる東京都港区の私立『正則高校』。農民連も昨年から窓口になり、今年は北海道、秋田、山形、福島、茨城などで体験学習の受け入れを行っています。正則高校の体験学習について担当の先生から話をうかがい、まとめました。
(森吉秀樹)


 正則高校では、進路指導の一環として二年生の夏休みを使った体験学習を進めています。しかし単なる職業体験ではないようです。社会経験の不足しがちな高校生が、働く大人と接することで社会を知り、自分を知り、社会の中で自分を生かす道を、自ら考え、切り拓いていくものとして取り組まれています。そして、体験学習で出会った人や家族など、生徒が、働く人の話を取材してまとめる「聞き書き」にも取り組んでいます。

 この体験学習は、生徒の希望と参加を募り、自由参加の形で行われています。分野も保育、農業、医療、介護、民宿、博物館、自動車整備、動物園などを卒業生や保護者の方の協力で広げています。

 今年は、二学年三百六十六人のうち半数を超える百八十五人が体験学習に参加し、なかでも、農業体験学習を希望した生徒は四割近くになります。参加した理由は「農業ってなんだろう」とか「自分の日常と違う世界を体験してみよう」という興味からのようですが、参加したことで、草取り作業がどんなに大変なことであるのか実感し、有機農業では、どんなに大変であっても手作業で草を抜く必要性があることを学んだことなどを「聞き書き」のなかで書きつづっています。

 また、農業を体験した生徒が、部活の合宿でご飯を残そうとする他の生徒に、残さず食べるよう説得したり、真っすぐなキュウリと曲がったキュウリでは価格が違うことを家族に話したりするなど、日常と違う体験を通じて普段の生活で見落としていたことを感じることにつながっているようです。

(新聞「農民」2002.9.2・9付)
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2002年9月

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