「農民」記事データベース20020805-550-02

――産地まるごと届けたい――

米屋さんと生産者つなぐ大交流会

関連/顔の見えるお米を消費者に


お米屋さんの感想

 情報をつないでほしい

   東京都府中市 (有)天地米店 小沢 量さん

 米屋は生産のことが、農家は消費者のことがわからないので、情報交換がしたい。アイガモや不耕起栽培など農法はいろいろあるが、その地域にどんな農法が合っているのか、そういう情報がほしい。生産地それぞれの違いや、「減農薬の背景」を知りたい。A4の紙一枚有る無しで、米屋の売り方もまったく違ってくる。農民連にはそういう情報をつないでほしいと思う。

 自分の周りでも米屋は減っている。しかし地域づくりから見ると、中小業者がつぶれてよいのか。子どもの教育や防災など、地域の強化が必要なものはたくさんある。

 地方色を出した袋を作って

   東京都世田谷区 (有)名川精米店 名川 斐雄さん

 参加は初めてですが、なごやかでわきあいあいとしていました。私は、お客様に対しては安全、安心をモットーにお米を販売しています。この交流会に参加したことで、これまで得られなかった幅が広がりました。出席して良かった。

 今、輸入された米はどこに行っているかわかりません。日本の農家が作ったお米が、行く先を失っていることは許せません。輸入米は少しずつでも減らすべき。私は声を大にして「日本の農家を助けろ」と言いたい。農家にほほえみがあってこそ街の米屋は成り立つと思います。日本で自給できているのはお米だけです。自由化のため、アメリカに押し切られる政府はだらしない。米は日本の農家で自給しなきゃ。

 生産者の皆さんには、お米とともに、袋代は払いますので、独特の袋を作って、お米と一緒に送って欲しいと思います。地方色を出したカラーの袋を作って、景色や、家族などの写真を使って、中身ともどもお客さんに届けられる袋を作ってください。

 アトピー治った話に感動

   東京都渋谷区 (有)松屋米店 松本 三男さん

 長野県からの話で、無農薬栽培の「長野ほまれ」でアトピーが治ったと聞いて感動しました。私も息子がアトピーなので悩んできました。

 百七十年続いた米屋ですから、のれんを引き継ぐことが私の使命と考えています。しかし、米ほど、農政に右往左往させられてきたものはないと思います。卸、小売はいつも影響を受けてきました。安全で良い米を取り扱いたい。生産者、消費者、米屋とのネットワーク確立は重要だと思います。

 売り上げ、以前の三分の一に

   東京都文京区 山本商店 山本 常三郎さん

 業界紙を見て参加しました。

 二代目の米屋です。小さな米屋ですが、息子が継いでくれています。

 二年ほど前から売り上げがどんどん減り、以前の三分の一になっています。米屋の集まりでは、いつ米屋をやめようかという話が必ず出てきます。

 初めて参加しましたが、大変親近感を感じました。産地、卸、小売の連絡がもっと必要だと思います。

 米作りへの姿勢感じられた

   東京都世田谷区 黒田精米店 黒田 富士雄さん

 農家の米作りへの姿勢が感じられた。農家と一緒に取り組んでいけるのがいい。ただ米を売るだけではいけない。お客さんに提案できる米屋にならなければいけないのではないか。

 この集まりでは、話題についてお互いに理解できることがいい。勉強になった。


生産者の感想

 農協出荷では得られぬ喜び

   宮城県矢本町 水田五ヘクタール 三浦 勝志さん

 去年知り合った大田区六郷の山田米店さんの元気な発言が聞けて、本当にうれしかった。農協出荷では得られない喜びがある。都会でがんばっているお米屋さんのためにも、おいしい米を作らなければと、あらためて思った。

 大いに仲間増やしたい

   新潟県弥彦村 水田二・六ヘクタール 今井 健さん

 新聞「農民」読者の地元の有力者が、この交流会の案内を見たことがきっかけで農民連に入会した。「まわりの農家を集めるから話をしてくれ」という。その人はまた、「農業については農民連の言うとおりだ。輸入しながら減反とは何ごとだ。MA米が心理的影響しかないなんてことはありえない」という。これを機に、大いに仲間を増やしたい。

 希望が見えるとりくみ必要

   千葉県・栄営農組合副組合長 及川 周蔵さん

 今日のような集まりを続けていくことが大事だと思った。いま農村では「いつ農業をやめようか」が日常の会話で、後継者の仕事もない。地域崩壊の危機だ。希望が見える、こうしたとりくみが必要だ。


消費者・米卸の感想

 街おこしにつながる交流会

   新婦人中央常任委員 暮らし・食べもの担当 安達 絹江さん

 いま消費者は食の安全性に厳しい目を向けています。そうした安全なものを食べたいという願いをかなえるだけでなく、街おこしや経済の活性化にもつながる交流会だったと思います。それも、みなさんがいいものを作り続けてきたから。これからも一緒にがんばりましょう。

 消費者の感心は安全性に

   日本マタイ 米穀事業部 宮地 摩泰さん

 今はもう価格破壊の時代ではない。消費者の関心は、価格から安全性に移っている。しかも単に「安全です」というだけでは不十分で、それが信用されなければ意味がない時代だ。「この人がこうやって作っています」と言える米を作ってほしいと思う。

 産地と消費者を結ぶ専門家必要

   東京城南食糧販売協同組合 営業三部 金澤 吉祐さん

 日本の昔からの流通形態が見直されるべきだと思う。流通のコストダウンもある程度は必要だが、産地と消費者を結ぶ専門的な知識を持つ人が必要だ。買う人が「うまくて、安全で、しかも安いもの」というのもわかるが、それでは作る人が生活できない。そこを理解してもらうことが重要だ。

(新聞「農民」2002.8.5付)
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2002年8月

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