「農民」記事データベース20020729-549-10

旬の味


 機械化が進んだ米作りの中で、一番体にこたえる農作業は「作溝」だ。今年は農業委員選挙があり、いつもより遅い▼田んぼに入り、十二条ぐらいを目途に機械で溝を立ててゆく。わが家で一番大きい六十七アール(長さ約二百メートル)の田んぼを五〜六往復するのが特にきつい。全身から汗が滴る。頭に巻いた手拭も絞れば吸い込んだ汗が滴るほどだ。周りの農家は作業を終えているので姿が見えない。「なんで俺だけ」とつぶやきながら土を踏みしめる▼それにしても一番の憤りは、農民の汗と苦労を知らず霞ヶ関の冷房の効いた部屋で「MA米は心理的影響で実害はない」「売れる米作りを」などと、米に対する国の責任を放棄し、農民の願いをまったく無視した「農業つぶし」を議論している人たちだ。「俺たちの苦労を知っているのか!」。田の泥を思いっきり顔に塗りつけてやりたい気分だ▼私たちの願いと結んでいるのが、卸を通して米屋さんや学校給食に届く農民連の米産直だ。交流の中で私たちが誇りを取り戻し、展望をつかむ実践になっている。

(巌)

(新聞「農民」2002.7.29付)
ライン

2002年7月

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