千葉の伝統食“体感”盛りあがった郷土食作り
「作った! 食べた! 交流した! 楽しかった!」――農民連青年部「夏の学習交流会」が、七月十二日から三日間、九十九里浜に面した千葉県蓮沼村で開催されました。台風一過の青空のもと、史上最高の七十人余が参加し、千葉県ならではの多彩な企画でおおいに交流しました。
青年部夏の学習交流会 in 千葉“楽しく”“真剣に”驚き、出会い、体験した、充実の三日間今年のテーマは「平和・食・遊ぶ」。有事法案と「平和」について学び、千葉の伝統食を作って食べ、学校給食や「食」について考え、地引網体験で「遊」ぼう、という盛りだくさんの内容(残念ながら地引網体験は波が高く、中止)。とくにワイワイと盛り上がったのが二日目の「千葉の郷土食作り体験」と「味覚実験」です。地元房総食料センター女性部のお母さんたちを先生に、いざ郷土食作りにチャレンジ。 「祭り寿司」づくりでは“まきす”の裏表から寿司飯の広げ方まで教わりながら、梅の花やカタツムリの太巻き寿司五十本を巻きました。切る瞬間は皆ドキドキで、「ウオー」「ヤッター」の大歓声。 「つみれ汁」と「なめろう」のグループは、海岸ならではの新鮮なイワシとアジを下ろすことから始めました。「オレ、魚料理なんか初めてだヨ〜」「痛ッ。骨が指に刺さった」と、これまた大騒ぎです。味噌・生姜などと合わせて音高く包丁でたたくと、「イヨッ!威勢がいいね!」と笑顔の輪ができました。 一方、本場・千葉県の落花生を使った「落花生みそ」作りの班は、黙々と豆を炒っています。よく見ると口もとがモグモグ。香ばしい匂いでついついつまみ食いせずにいられません。 皆、あちこちのグループをハシゴしながら郷土食を完成させ、夢中でお腹いっぱい食べました。 郷土食作りと同時に、産直品と市販品を食べ比べて当てるという「味覚実験」もやってみました。枝豆、落花生、みかんジュース、緑茶、牛乳、豆腐、醤油など十三品目に挑戦したのですが、「意外と難しい」「本物の味を知ってるって大切だな」というのが皆の感想。全問正解という人はゼロで、タイ産冷凍エダマメを庄内だだちゃ豆と誤答し「自信喪失だよォ」と頭をかかえた人も。 初日夜のバーベキューでも、各地からの野菜や果物、地酒などを堪能し、「“ものを作ってこそ農民”を本当に実感できてよかった。仲間の作った野菜を“うまい”だの“いやオレの方がうまいはずだ”なんて語り合うのは最高」(副部長・椎名俊英さん)という交流会。
スローフード、学校給食深めまた「子どもたちの未来を創る学校給食」の学習会では、長年、食材にこだわった学校給食に取り組んできた全教栄養職員部長の阿部五百子さんが基調報告をしました。このほか、千葉青年部の熊手正幸さんが「青年の食生活アンケート」調査の取り組みを、食品分析センターの八田純人さんが輸入食品の危険性を、千葉県多古町旬の味産直センターの高橋清さんが東京の小学校給食への野菜供給を、千葉県酒々井町農業委員の竹尾忠雄さんが学校給食に地元の米を入れた経験を、それぞれ報告しました。 スローフード運動の報告もされ、討論では「地元の食材を使うというシステムがあれば民間委託を許さない力になる。できるところから地元ものを使わせていこう」(神奈川・菊地原靖さん)「練馬の小学校にタマネギ出荷が始まり、生産者が励まされている」(茨城・椎名知哉子さん)「スローフードは食文化の多様性を守ろうという運動。たんなる反ファーストフードではない」(千葉・徳益友紀子さん、小林朋子さん、石橋正さん)などが意見交換されました。
残忍な侵略が今とつながりまた一日目には、有事法案がヤマ場を迎えているいま、あらためて平和について青年の立場から考えてみようと、元七三一部隊員の篠塚良雄さんの戦争体験を聞きました。千葉県は第二次世界大戦で、旧満州に多くの兵隊が送られた地域。細菌実験や生体実験など、残忍な侵略行為をありのままに語り、「勝つためにはどんな残酷なこともやってしまうのが戦争というもの。生物兵器開発はいまも世界中で続いている。有事法制はなんとしても廃案に」と言う篠塚さん。「生の話が聞けてよかった」(静岡・鈴木宏子さん、分析センター島田朋史さん他多数)「今の社会にもつながることを知って、とても驚いた」(山形・新関拓也さん)など、大きな感銘を呼びました。 三日目の地引網体験は、大自然には勝てずに中止になりましたが、砂浜に出て記念写真を撮りました。
普段できない経験宮岸真子(22) 石川県一人で参加して、すごい不安やったけど、皆すごく面白くて、楽しかった。一日目の夜のバーベキューでは、みんなが地元の特産品を持ち寄って、作った人の顔を見て、作った人と話しながら食べるという、普段あまりできない経験をした。二日目に経験した郷土料理作りは、地元千葉の女性部の人達に教えてもらいながら、初めて見る「祭り寿司」を実際に作ってみて、農民連に入ってならではの体験だと感じた。
やりがい感じた吉田 徹(28)茨城県今回の学習交流会はたいへん楽しかった。学習することや、経験することが楽しいという思いになった。一日目の元七三一部隊の方の話は、貴重な体験だった。戦争時の尋常でない考え方が、今もなお繰り返されようとしていることに、まず自分自身の今後のやり甲斐を感じ、本当によかった。 祭り寿司作りも楽しい経験だった。機会があれば家族でチャレンジ(無理?)してみたいと思う。
(新聞「農民」2002.7.29付)
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[2002年7月]
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