「農民」記事データベース20020715-547-15

旬の味


 梅雨の合間に小麦を刈る。道端に来た四十代の男性が「コレ何ですか?」。麦秋という言葉が死語になったと実感する▼さすがに鎌で刈ると汗だくだ。「シャツ雑草にぶっ掛けておく」(栗林一石路)という句の意味が、あの男性には分かるだろうか。鎌で刈るのも大変なので中古のバインダーを探したがない! そのうちに去年のスーパースイート“きぼう”の肥料が残ったせいか麦は倒れはじめ、鎌で刈らねばならなくなった▼「食と農の再生プラン」で大部分の農家の首を切る計画を進めながら、農水省は有事立法農業版ともいうべき「不測時の食料安全保障マニュアル」で、必要ならいつでも増産するようなことをいっている。バインダー一つとって見ても絵空事だと腹が立つ▼「有事になったら作付け統制して増産させる」とマニュアルはいうが、大麦と小麦の区別もつかない人に麦が作れるか?一々頭に来る。「何もかも月もひん曲がってけつかる」(一石路)▼ともあれ、わが家の来年の醤油は全部自家産のめどが立った。先ずはメデタイ。

(節)

(新聞「農民」2002.7.15付)
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2002年7月

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