「農民」記事データベース20020708-546-08

殺すより、増やさない

害虫防除 (10)


虫の基礎知識 ヨトウムシ

 1 特徴と見分け方

 (1)ヨトウムシ

 ヨトウムシは春から秋に灯火に飛んでくるガの幼虫です。アブラナ科やナス科の野菜、サトイモ、ネギなど、葉物や根物野菜を食害します。

 卵(写真1〈写真はありません〉)は淡黄色、まんじゅう型、直径〇・五ミリで四〜五月と八〜九月に葉裏に産み付けられます。卵はしだいに黒くなり、五〜九日間でふ化します。若令幼虫(一〜二令、写真2〈写真はありません〉)は、体色が淡緑色でアオムシに似ていますが、シャクトリムシのように歩きます。葉裏を食うので、葉は白くかすり状になります。若令幼虫は土にもぐらず、葉裏にかたまっています。

 老令幼虫(成長しきった幼虫)は、体長五センチになるイモムシで、頭部は黄褐色。胴部は灰黄色〜灰黒色で、側面には黄色線があります。昼間株元や地中にかくれ、夜間現れて暴食します。六〜七月に発生が多いと、秋の被害が予想されます。

 (2)ハスモンヨトウ

 ハスモンヨトウは八〜十月に被害が多いガの幼虫です。ガは卵を二〜三段に重ねて産み付け、自分の体にある黄土色の毛をなすり付けます。

 若令幼虫は葉の表皮を残して食害し、葉は茶色くなって汚れます。

 夏が高温乾燥の年に多く発生し、一つの畑を食いつくすと他の畑へ集団で移動して食害します。

 2 防ぎ方

 (1)両種とも体長一センチくらいまでの、集団でいる時期に防除する。葉裏に薬剤散布するほか、手でつぶす。なお、ヨトウムシの若令幼虫は葉をゆすると糸を吐き、落下するので見つけやすい。

 (2)筆者はサトイモやホウレンソウで卵塊を見つけることが多いが、元気よく伸びきったばかりの葉裏に多い。卵塊のある葉に印をつけ、十日間くらい観察を続け、ほとんどの卵のふ化を待って防除する。十日以上経過してもふ化しなければ、天敵(タマゴヤドリコバチ=体長〇・五ミリ弱)などに寄生されているので、卵塊をつぶさず、その周辺には薬剤をかけない。

桑山洋三(農の会会員)

(新聞「農民」2002.7.8付)
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2002年7月

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