岩手県農民連女性部地しょうゆ造り講習会先人の“技”再認識
“ほんもの”の味楽しみたい岩手県農民連女性部は六月十一、十三日の二回にわたって地しょう油造りの講習会を開きました。これまで一つの会場だけでしたが、昨今の加工食品の不安に加え、「先人たちの技を学んで本物の味を楽しみたい」と、新婦人の会員も含めて二十三人の参加があり、二会場に分かれて行うことになりました。今回は、発酵の第一段階「麹作り」です。一日ですべての作業をこなすのは無理なので、大豆は前日に煮ておき、当日は小麦を煎る作業から始めました。煎りすぎると焦げ臭く、半生では腐りやすいので、小麦煎りは難しい作業です。煎り具合をつかむため、全員が午前中いっぱいかけて十升の小麦煎りを体験。最後は目と鼻を使って、上手に仕上げるまでになり、会場いっぱいに広がった香ばしさに、全員満足。
大豆と小麦、種麹あわせて昼食時には、食べきれないほどの郷土料理をみんなで持ち寄り、一足先に作った人の本物しょう油を試食しながら「今後も実習をかさねて手作りしょう油を食べよう」と語りあいました。午後からは麹の仕込みです。大豆と小麦、それに種麹を合わせて、せいろに並べます。そして、ウルシ科の広葉樹「ぬるで」の葉つきの小枝でおおい、ムシロをかけて仕上げ。「ぬるで」には熱を微調整する役割があり、岩手独特の方法です。二日後には山吹色のみごとな麹の花が咲くことを祈り、全員で手をあわせて作業を終了しました。 このあと五、六日ほどで麹の花が咲いたら女性部の数人に分けて、各自が塩水と混ぜてもろみにします。もろみを管理する人は、二年半後のしょう油を搾る日を楽しみに毎日せっせとかき混ぜることに。もろみを管理して今年で二年目の人も数人います。 岩手の先人達が作り上げたすばらしい技や食文化は、農業と切り離せないこと、私たち農業女性はその農業と食文化を守る最前線にいることを再認識した講習会。来年も実施することを約束し、晴れ晴れとした気分で一日を終わりました。 (岩手県農民連女性部 伊東庚子)
(新聞「農民」2002.7.1付)
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[2002年7月]
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