「農民」記事データベース20020701-545-13

炭やき農民のすすめ(7)

杉浦銀治


伏せやきをやろう

 これまで木炭の農業への活用をいろいろと紹介してきたが、今回は世界的に行われている日本式「伏せやき」のやり方を紹介する。夏休みを利用して子どもと一緒に試みてほしい。

 まず(1)〈図はありません〉のような穴を掘る。底は平らか、窯口を若干上げると炭材の水分で火が消えることがない。

 (2)の敷木は、地面からの熱を防ぐのと同時に、空気の通り道を確保するので必ず敷く。窯口は、耐火レンガ、ブロック、石、粘土で組む。煙突は敷木の高さより下にステンレスの曲がりと直管で図のように設置する。

 炭材は伐採後一カ月くらいで、太さは五センチ以下を目安に、細いものから順に二十五〜三十センチ程度積み上げる。その上と両側に枯れ草や枝葉を二十〜二十五センチかけ、トタン板をかぶせて、窯口を除いて全体に十センチの厚さに土を盛り、足で踏み固める((3)〜(4))。

 ここまで準備ができたらいよいよ着火。窯口で焚き火をして、順次、火種を押し込んでいく。その際、やや手前で焚き火をして窯口を乾燥させるのがコツ((5))。煙突の先から三十センチほど離して、五メートル程度のステンレス管を十〜十五度の角度で設置すれば木酢液が取れる。モウソウチクの節を抜いたものでも十分((6))。

 およそ二時間で、煙突から辛煙が力強く立ち昇れば着火した証拠。さらに焚き火を続け、窯の内部を、木が自発炭化するのに必要な温度(二百七十五℃)に上げる。煙にかざした手が熱で三秒がまんできなくなった時が目安。円筒にした空き缶を通風口にして窯口に差し、周りを石、レンガ、粘土で密閉する。その間、かぶせた土の間から煙がもれるので、素早く土をかぶせる。これを怠ると空気が入り込んで炭材が燃焼して灰になってしまう((7))。

 およそ七〜八時間で煙の色が白から青に変わり透明になったら窯口を完全に密閉し、その後約一時間で煙突も引き抜く(窯留め=消火)。出炭は、窯留め後、丸一日おいた方が安全。土をどけてトタンをはがせば、黒々とした木炭がならんでいるはず。

(新聞「農民」2002.7.1付)
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2002年7月

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