趣味の農機整備青木 敬典
第7回 作業機の故障早期発見で修理コストを安くする今回は、エンジン以外の作業機について考えます。農業機械に限らず、作業機はエンジンの回転力をギヤやベルトなどによって取り出して利用しています。この回転力を利用する部分には必ず、ベアリングやオイルシールが使われています。エンジンの動力取出し部、車軸、ロータリーの爪軸、PTO軸などがそうですが、これらの部分には内部にオイルが充たされており、ベアリングによって回転軸を保持し、オイルシールによってオイル漏れやゴミの進入を防いでいます。 オイルシールが回転軸と接触している部分をリップ部と言い、リング状のスプリングによって軸に押し付けられていますが、時間が経つにつれてシール効果が無くなりオイル漏れを起こします。 また、泥やゴミなどに長時間接触していたりすると、リップ部分が切れたり擦り減ってオイルが漏れ始め、ゴミや水が進入し、たちどころにベアリングがイカレます。 こうなると回転軸が保持できなくなり、ブレて内部にあるギヤやチェーンが破損したりします。ここまでひどくなると、農作業は出来なくなり、修理に大金がかかってしまいます。 従って、機械の修理コストを安くあげるには、回転部分を定期的に観察し、オイル漏れを早期に発見して修理することです。早期に修理すれば、オイルシールなど低価格な部品の交換ですみます。 また、コンバインなどの刈取り部や、搬送部の回転部分の様に、オイルシールが無く、シール付きのベアリングのみが使われている所もあります。これらはオイル漏れが無いために故障の発見が遅れます。シーズンオフに分解してベアリングのガタや異音の有無を点検し整備する必要があります。 この様に、農業機械などの作業機は、経年的に劣化し、本格的な故障へと発展していきます。 これは機械物には避けられないことですが、早期に発見できるかどうかで機械の寿命が決まります。これを参考にお手元の機械を隅々まで点検してみてください。どこかで「早く修理してくれ」と黄信号を送っている機械があるかもしれません。次回は、最後なので工具と上手な整備屋との付き合い方について考えます。 (農の会会員)
(新聞「農民」2002.4.15付)
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[2002年4月]
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