「農民」記事データベース20020415-535-03

BSE問題調査検討委員会

最終報告「重大な失政」指摘


 BSEへの行政対応を検証してきたBSE問題調査検討委員会は、四月二日、「重大な失政」「政策判断の間違い」などと農水、厚労両省の対応を厳しく指摘した最終報告書をまとめて、武部農相、坂口厚労相に提出しました。

 責任認め補償を

 報告書は、九六年にWHOから肉骨粉禁止勧告を受けながら行政指導で済ませたことを「重大な失政」と断定。さらに昨年、日本のBSE発生リスクを評価しようとしたEU報告書案を、農水省が握りつぶしたことについても「政策判断の間違い」と批判しました。

 肉牛消費の長引く低迷や廃用牛の出荷停止など、農家・関連業者は今もって深刻な状態に置かれ、廃業の危機に直面しています。こうした事態が「重大な失政」によって引き起こされたと断定したことが報告書のもっとも重要な内容。そうである以上、政府・与党がやるべきことは、農家・関連業者が被ったすべての損害を補償することと、それを法律で規定する野党四党提出の「BSE緊急措置法」を成立させることです。

 政官のゆ着指摘

 報告書はまた、「政と官の関係が政策決定に不透明性を助長し、十分なチェック機能を果たせない原因になった」と指摘。「失政」の背景には、「農林関係議員」の関与があるとしましたが、これは自民党農林族であることは明らかです。

 同時に、この政官癒着が生んだ政治は、報告書にあるような生産者優先の政治ではなく、輸入商社や大手飼料メーカーの利益を優先する政治だということ。経済効率を最優先する自民党農政のもとで儲けてきたのは“業界”であり、生産者は、畜産物価格の引き下げで苦しめられてきました。

 なにより、BSEでもっとも深刻な影響を受けているのは農民であり、家族同然に育てている牛がBSEの危険にさらされた農家の心の痛みは計り知れません。

 政治かえてこそ

 また報告書は、食品安全行政にかかわる法整備や新法の制定、行政機構の見直しなど、踏み込んだ提起をしました。これは食の安全を切実に願う消費者の声であるとともに、BSEの影響を長引かせ、広げているのは、農政不信、政治不信であり、「政治のあり方そのものを変えてほしい」という国民の声の反映です。

 しかし、小泉首相や与党は、農相をかばい続け、わずかばかりの減給でお茶を濁そうとしています。これこそ、国民の命より政権の延命を優先する、悪しき自民党政治です。

(新聞「農民」2002.4.15付)
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2002年4月

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