「農民」記事データベース20020415-535-01

武部農相は辞任せよ!!

BSE新法の早期成立を

野党四党首らが集会で要求

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 「BSEによる損害の補償を法律で義務づけよう」――「BSE緊急措置法案」を国会に提出している野党四党(民主党、自由党、日本共産党、社民党)の呼びかけで、四月四日、同法の早期成立を求める国民集会が開かれました。会場の東京・日本青年館大ホールが、つめかけた二千人の農家、消費者、流通・小売業者などの熱気に包まれるなかで、四党の党首・幹事長が、新法成立に向けた決意を述べました。

◇   ◇

 この日は、二日前にBSE調査検討委員会が、行政対応を厳しく指弾する報告書をまとめたばかりという絶好のタイミング。民主党の鳩山由紀夫代表は、「報告書の『重大な失政』という言葉の重みは、非常に大きい」と述べて、成立に全力をあげる決意を表明。自由党の小沢一郎党首は、「自民党の政治体制そのものにメスを入れる必要がある」と語りました。

 日本共産党の志位和夫委員長は、武部農相をかばう小泉首相の態度を「国民の命より政権の延命を優先するもの。政権失格だ」と批判。社民党の福島瑞穂幹事長は「農相の責任を明確にすることが重要」と、参院で四党が問責決議を提出したことを明らかにしました。

 農家・消費者・業者が訴え

 四党のあいさつに続いて生産者代表アピールをした農民連の佐々木健三会長は、「BSE一一〇番や損害請求運動など『農民の苦悩あるところ農民連あり』を合言葉に運動してきた」と述べて、北海道猿払村の発生農家の父親から農民連に寄せられた手紙を紹介(別掲)。「一人の農民を救えない国が、どうして日本農業を守ることができるか」と、国への怒りを表明。日本消費者連盟の富山洋子・代表運営委員は、消費者を代表して、「牛を殺さざるをえなかった生産者の無念さを痛感する」と述べました。

 また、福島経済連和牛繁殖飼育者協議会の須田諄会長、日本フードサービス協会の横川章副会長もそれぞれ現場から告発しました。

 法律の成立を求める署名が、すでに八十五万筆集められていることが報告され、消費者、農家、流通・小売業者はみんな被害者であり、国が加害者であることが鮮明になった集会。北海道・小清水町から参加した大沢昇さんは「二年間育てた牛が一頭四万円で子牛よりも安い。この状態がいつまで続くのか、みんな先が見えない。補償をきっちり法律で規定することが必要だ」と語っていました。


愛する牛、かわいい孫 大切な心の宝を失った

猿払村の発生農家からの手紙

 国の「失政」がもたらしたBSEによって、今も農家、関連業者が苦しんでいます。とくに感染牛が発見された三軒の農家は、同居する牛を殺され、マスコミの取材にほんろうされて、塗炭の苦しみを味わいました。

 そのうちの一軒、北海道猿払村の農家から、農民連に届いた手紙を紹介します。

 拝啓 このたびBSE一一〇番を知って電話しました。お手紙をいただきありがとうございました。私どもの悲痛な声を一人でも多くの人に知ってもらいたくて便りを書きます。私は、昨年十一月二十一日に二頭目のBSE牛を出荷した北海道猿払村の娘の父親で、池田といいます。一言、苦言を話させてください。

 まずマスコミの早さには驚きました。空は、ヘリコプター二機。夜も遅くまで牛舎のまわりをうろついて、「一言、今の気持ちを」なんて聞かれても、国でもわからないことを話せるわけがありません。心ない人たちに家庭を壊されて、身も心もボロボロになった若い二人は、私に一言もなく故郷を捨てて、出て行ってしまいました。

 国も勝手過ぎます。大切な六十二頭の牛を、何の承諾もなく連れ出して殺しておいて、「一頭も出ませんでした。すみませんでした」の一言のあいさつもありません。一夜にして奈落の底に突き落とされた思いです。国はBSE牛の脳は焼いたといいます。紙面に残ってはいても、私たちはそれを見ることも調べることもできません。

 口のきけない牛を、さも汚いもののように殺された飼い主の気持ちを考えたことがありますか。よくもよくも、私たちの大切な生活の糧である牛たちを。一日、二日で築き上げたのではありません。三代前の亡き父母の汗と涙と知恵とで、今日があります。

 ミルクが原因なのか、配合飼料なのか、一日も早く原因を究明してください。私たちは、愛する牛、かわいい孫、大切な心の宝を、みんな国の横着な仕打ちによって失いました。泣き寝入りするしかないのでは、気が狂ってしまいます。六十二頭の牛の代金も八割しかもらっていません。こんなことは絶対に許すことはできません。

敬具

(新聞「農民」2002.4.15付)
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2002年4月

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