演劇誠実に生きる姿・清々しく俳優座劇場プロデュース「高き彼物」
俳優座劇場プロデュース公演の「高き彼物」は二〇〇〇年に初演され、「舞台からさわやかな風を吹き送ってくれた」(小田島雄志・産経新聞)と評された作品です。今回は二年ぶりの再演です。題名は、歌人・吉野秀雄の「屑たばこ集め喫へれど志す高き彼物忘らふべしや」からとられています。マキノノゾミ作、鈴木裕美演出。 静岡県川根町の雑貨屋「猪原商店」が舞台。一九七八年の夏休み、受験生の藤井秀一が猪原商店の主で元高校教師の正義を訪ねてきます。秀一がSLを見にきたとき二人乗りのバイクが転倒、友人は死亡、秀一は負傷。通りかかった正義に救われたといういきさつがありました。正義は秀一に酒の飲み方を教え、勉強の仕方を教えます。一週間が過ぎた日、秀一は正義が十五年間も苦しんできたある事件を知ることになります。 正義と秀一を中心に、猪原家の家族とそこにかかわる人たちの不器用ながらも誠実に生きようとする姿が、ときには軽い笑いをさそいながら展開されていきます。 再演にあたって、正義役の高橋長英さんは、「新しい発見がどれだけできるか、発見の数が多ければ多いほど新鮮な舞台になります。元教師という役なので高いテンションで臨みました。せりふを肉体化し音声化するのに苦労しましたが、人間として素敵だし、好きな役です」と語ります。ほかに浅野雅博、藤本喜久子、森塚敏らが出演。アンサンブルの良さが清々しい舞台をつくりあげています。 (鈴木太郎)
*4月14日〜17日東京・六本木・俳優座劇場。19日〜27日京阪神、5月9日〜6月6日神奈川県下で公演。連絡先電話03(3470)2880 (新聞「農民」2002.4.1付)
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[2002年4月]
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