「農民」記事データベース20020325-532-01

またまた冷凍野菜に残留農薬

農民連食品分析センターが検出

関連/食品の産地偽装、不正表示一覧


発ガン性農薬、基準値の9倍も

 農民連食品分析センターは二月十九日から三月五日、市販の中国産冷凍野菜を分析し、基準値を超える残留農薬を検出しました。基準値をオーバーしていたのは、ダイエーが輸入した「フローズンベジタブル 便利冷凍野菜ほうれん草」、ノースイの「キャプテンクックほうれん草のバター炒め」、日本水産の「塩あじ茶豆」の三品目。また日本水産の「塩あじ枝豆」、ニチレイの「小分けホウレンソウ」の二品目からも残留農薬を検出しました(表)。

 
中国産冷凍野菜の残留農薬分析結果
 
品名
輸入者または製造者
分析結果
農薬名
含有量
(ppm)
基準値
(ppm)
主な毒性
(1)
フローズンベジタブル
便利冷凍野菜ほうれん草
〔株〕ダイエー
クロルピリホス
0.09
0.01
発ガン性
遺伝毒性
シペルメトリン
1.39
2.0
発ガン性
(2)
キャプテンクック
ほうれん草のバター炒め
〔株〕ノースイ
エンドスルファン
0.09
設定なし
強魚毒性
クロルピリホス
0.013
0.01
発ガン性
遺伝毒性
シペルメトリン
0.086
2.0
発ガン性
(3)
塩あじ茶豆
日本水産〔株〕
シペルメトリン
痕跡
5.0
発ガン性
フェンバベレレート
1.41
1.0
遺伝毒性
(4)
塩あじ茶豆
日本水産〔株〕
シペルメトリン
0.024
5.0
発ガン性
フェンバベレレート
0.056
1.0
遺伝毒性
(5)
小分けホウレンソウ
〔株〕ニチレイ
pp-DDE
痕跡
0.2
発ガン性
試料入手先および分析年月日:2002年2月16日〜3月4日および2月19日〜3月5日
試料入手先:(1)(2)(4) はダイエー成増店、(3)(5)は西友東長崎店

 分析センターが冷凍野菜から残留農薬を検出したのは、一昨年十二月以来、二度目。

 中国の農薬汚染については、昨年十二月に「中国青年報」という新聞が「中国国内に流通している野菜の五割近くから国内基準を上回る残留農薬検出」と報じ、厚生労働省の問い合せに対して中国政府もこれを認めました。今回の分析結果は、こうした中国国内の農薬汚染の実態の一端を示すものです。

 冷凍ホウレンソウから基準値の九倍の濃度が検出されたクロルピリホスは、白アリ駆除などに使う殺虫剤で、発ガン性、遺伝毒性があり、たいへん毒性が強いものです。また、一・四倍の濃度で見つかったフェンバレレートにも遺伝毒性があります。

 冷凍食品は抜け穴

 「中国青年報」の報道を受けて、厚生労働省は今年一月を中国野菜の「検査強化月間」に位置づけて検疫を強化しました。その結果、六種類九件(ブロッコリー、オオバ、ニラ、パクチョイ、サイシン、ケール)の生鮮野菜から基準値を超える残留農薬を検出しました。

 ところが厚生労働省の検査には、重大な抜け穴があります。それが今回分析した冷凍食品。「個別包装で、検査しにくい」と検疫強化の対象からはずされました。

 昨年一年間の野菜輸入量は、過去最高の二百八十六万トン。そのうち中国産は、百四十九万トンで全体の五二%を占め、年々増加する野菜輸入のなかで、とくに目立った伸びを示しています。

 輸入品が九割を占めている冷凍野菜。その中で中国産の割合は六三%(約三十万トン)。冷凍ホウレンソウでは一〇〇%(約五万トン)、冷凍枝豆でも六割(七万五千トン)が中国産です。

 日本国内に大量に出回っている輸入野菜が農薬まみれこれでは国民の健康は壊されるばかりです。「生鮮とともに、冷凍もしっかり検査しろ」「年間を通じて検疫強化を」の声をさらに大きくしていくときです。


食品の産地偽装、不正表示一覧

1月23日 雪印食品関西ミートセンター(兵庫県伊丹市)が昨年10月、オーストラリアからの輸入牛肉を国産牛肉の箱に詰め替え、BSE対策費で買い取らせる
  28日 雪印食品関西ミートセンターが、昨年9月、北海道産の牛肉を熊本県産と偽って出荷、販売
2月8日 雪印食品関東ミートセンター(埼玉県春日部市)が、昨年6月以降、輸入豚肉を「国産」と表示したり、青森県産の豚肉を「神奈川県産」と表示するなどの偽装工作(2月22日に同社が解散を決める)
  15日 ミニトマトの一大産地である熊本県八代市の青果物業者が、韓国産ミニトマトを八代産と偽装して、関東地方の市場に出荷
    高松市の食肉加工販売会社「カワイ」が昨年、香川県産の国産牛肉詰め合わせ商品に米国産の輸入牛肉を使う
  19日 宮崎県えびの市の青果卸業者が、中国産のゴボウを国産と偽って出荷していた疑いで県が調査
  22日 福岡、佐賀両県にあるスーパー「オレンジチェーン」の二店舗で、米国産の牛肉や豚肉を国内産と偽って販売
  27日 食肉卸大手スターゼンが、パック詰めにする豚肉と牛肉の品種の表示を偽装し、九州の大手スーパーに出荷
3月1日 スターゼンが、新たに九州産の銘柄鶏「みつせ鶏」にも安い鶏肉を混ぜる。豚、牛肉の偽装では約1000万円の利ざやを得る
    中国産ショウガが「JA全農ちば」のブランドで流通
  4日 全農系の鶏肉加工会社「鹿児島くみあいチキンフーズ」がコープネット事業連合(さいたま市)に納入した鹿児島県産の産直若鶏の中に、タイや中国産鶏肉をまぜる
    食肉卸のヒルマ(本社・大阪)とその関係会社の計4社が、自己破産を申請。ヒルマは輸入牛肉を国産と偽って出荷していた疑惑が発覚
  6日 全農の子会社・全農チキンフーズが、抗生物質入りの餌で飼育された国産鶏の肉と加工品を、抗生物質不使用の鹿児島産鶏肉と偽って、コープネット事業連合に出荷
    生協グリーンコープ連合(本部・福岡市)が、鶏肉加工販売業者「蔵王フーズ」(東京・墨田区)から購入した冷凍鶏肉の加工日や賞味期限が書き換えられていたとして、九州農政局などに届け出
  8日 JA埼玉経済連が取り扱う中国産ショウガを「埼玉県産」として流通・販売
    愛知県豊田市の食肉卸売業「三河畜産工業」が黒豚の表示を偽って表示、大手スーパー・マイカルなどに卸す
  11日 茨城玉川農協が東都生協に出荷した豚肉の一部に、表示とは異なる品種が混入。一部外国産も
(*日付は発覚した日)

(新聞「農民」2002.3.25付)
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2002年3月

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