「農民」記事データベース20020318-531-10

旬の味


 春の遅い佐久でも小春日和には畑や畦のナズナを摘むおばあちゃんたちの姿がちらほら見える▼雑草ではあるが、冬の長いここでは葉をおひたしにして早春の食膳にのせる風習がある。冬でもホウレンソウや小松菜がのびる暖地では、歯牙にもかけられないが、雪も降らず凍みるだけの佐久では、真冬の寒さに遇ったナズナの珍味は捨てがたい▼厳冬期でもやりようによっては収穫できる。暮れまでに育っていれば寒中は大きくならないからコンスタントに摘める。紫がかった褐色の葉は一見枯れたように見えるが、熱湯に入れれば瞬時に鮮やかな緑色になる▼この感動と味を早春だけではなく、厳冬期にこそ消費者に味わってもらおう。だから春にはナズナの採種をして皆で栽培したい。そんな話をしたら、地域の生協のお母さんいわく、「じゃぁ、来年の冬はナズナ狩りができるわね」▼そんなことから、この冬はしばしば畑の凍っている状況を見回った。二月下旬にはもう凍みは融けていた。半月以上早い! 急に野良仕事に急かされる思いの日々である。

(節)

(新聞「農民」2002.3.18付)
ライン

2002年3月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2002, 農民運動全国連合会