旬の味
昨秋、中国・黒龍江省の一部を垣間見た。「北大荒」と呼ばれた地を「北大倉」(北の大穀倉地帯)に変えた農民たちの努力に深い敬意を覚えるとともに、日本の稲作の底力に改めて感じ入るものがあった▼省都ハルピンの年間降水量は五百二十七ミリ。十二月〜二月の合計はわずか十一ミリ。雪はほとんど降らず、梅雨も台風もない。しかも大河・松花江の水は重金属汚染で使えないという▼一方、たとえば富山市の降水量はそれぞれ二千二百九十六ミリ、六百八十七ミリ。雪、梅雨、台風……。日本を「海水を真水にして吸い上げる巨大なポンプを備えた列島」と評した人がいるが、冬の季節風が日本海の水をくみあげ、雪を降らせて「ダム」になる▼そして雪溶けに合わせて田植えが行われ、つゆの雨が苗を育て、熱帯にも匹敵する夏の暑さと陽光が穂を育み、秋晴れが米を肥らせる。私たちの祖先は、この列島の繊細な四季の移ろいに見事に適合させて稲をはぐくんできた▼この米を滅ぼそうという小泉「改革」の動きが執拗だが、こんなものに負けてなるものか!
(新聞「農民」2002.3.4付)
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[2002年3月]
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