趣味の農機整備青木 敬典
第1回 オイルと燃料気をつけたいガソリン給油時の引火事故皆さんは農機具の整備をどのようにされているでしょうか。このシリーズでは趣味と実益をかねて整備をしてみようという農家のために知っていると役に立つ整備上の予備知識について考えます。まずは、これがないと数秒後に完全にイカレてしまうオイルについて。
・小まめに使いきる農業機械の四サイクルエンジンの最高回転はせいぜい四千回転ですから、バイクやターボ付きの車のエンジンに求められるような高級エンジンオイルは必要ありません。規格はSF―CD 10W―30で十分です。Sはガソリン用、Cはディーゼル用の規格でその次のD・E・Fはアルファベットの下に行くほど高回転用の高級オイルになります。また、10W―30は粘度による分類で、マイナス二十度の冬季から真夏まで使えます。マイナス三十度の北海道で使うなら5W―30のものを、四十度近い沖縄で使うなら20W―40のものを使ってください。ギヤオイルはGL―3かGL―4で80W―90の規格のものを使ってください。これならマイナス二十度の厳寒期でもトラクターのフロントローダーや三点リンクはすんなり上がります。 銘柄は車やオイルメーカーの名が入っているものなら安心です。値段は四リットルで二千円位のものを使ってください。無理して二十リットル缶を買って保管しておくよりも四リットル缶でこまめに使いきった方が良いです。
・エンジン始動時に次は燃料(特にガソリン)についてですが、ガソリンは消防法では第4類の危険物に指定されています。性質は引火性液体で火気等により引火または爆発する危険性を有しています。また、揮発しやすく蒸気の比重は空気より重いため低所に滞留しやすく広い範囲に爆発性の混合気体をつくる危険性があります。特に気をつけたいのがガソリンの給油時です。エンジンを停止して給油するのは当たり前ですが、こぼれた場合十分にガソリンをふき取り、風通しの良い場所で時間をかけて揮発させてからエンジンを始動するようにしてください。プラグには高圧の電流が流れており、プラグキャップが古くなっていると漏電し引火する危険があります。たかだか二、三リットルでも引火して爆発炎上すれば手がつけられず火災の原因となりますが、この性質でエンジンは動いています。しかし揮発性は故障の原因にもなります。跡形もなく揮発してくれれば問題はないのですが、最後に「ガム状物質」という黄緑色のものが残ります。このため使用時以外はキャブレター内のガソリンを抜いておかないとエンジンは始動不良になります。 また、ゴムや樹脂を溶かす性質を持っているためポリタンクに保管することは出来ませんし、燃料コックのオーリングや燃料ホースは長期間ガソリンにさらされていると劣化します。 次回はキャブレターについて考えます。 (農の会会員)
(新聞「農民」2002.3.4付)
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[2002年3月]
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