「農民」記事データベース20020225-528-03

「こだわり」生かし多様な販路を

産直協が実務研修会開催


 二月五〜六日、産直運動全国協議会は、熱海市内で二年ぶりの実務研修会を行いました。研修会には、二十二道府県三十三団体五十九人が参加しました。

 今回の研修会は、各組織が進めている栽培基準作りや、栽培過程の記録と公開の方法を具体的に交流し合い、それらの「基準」やこだわりを生かした多様な販売をどう進めるかを探求するものでした。

 雪印問題などで、消費者の表示に対する不信感が頂点に達していることもあり、生産農民の責任として「栽培過程の記録」を公表することの重要性が増しているだけに、非常にタイムリーでした。

 研修会では、農民連米対策部の横山事務局長が、「農民連ブランドをめざした取り組みの強化を」と題して、米卸を通した準産直米の取り組みを報告。栽培過程の記録と公表、それを通じて安心・安全をどう伝えていくのか、そのために「農民連の米」と言える最低基準の具体的提案を行い、各組織での討論を呼びかけました。

 事務局報告を受け、十三組織がそれぞれの取り組みを報告しました。

 畦道講習会を積み重ね、「一反あたり七俵から十俵とれるようになった」という山形庄内産直センターの「栽培カルテ」を使った取り組み、和歌山県しもつコープファームの記録日誌や園地調査表など、資料にもとづく具体的な報告が行われたことにより、参加者が「自分の組織ではどうするか」というイメージを持ち帰ることができる研修会になりました。

 東都生協が進める「公開監査」を受けた房総食料センターからは「作付から出荷までのフローチャート」を示しながら「自分の作ったものに責任を持つ」ために、組織として「何を準備し実践するか」が具体的に示されました。紀ノ川農協の「多種・多様な産直の実践で、地域の生産力を高める取り組み」の報告は、地域の生産者に依拠して組織も事業も大きくしていく中で、地域農業を守っていく実践として教訓的でした。

 今回の研修会は、報告時間もたっぷりとり、質問時間を設けるなど総会ではできない運営方法をとったことで具体的な交流ができたと同時に、栽培の記帳にとどまらず、産直協の運動全般にわたる議論も深まる研修会となりました。

(産直協役員 吉川利明)

(新聞「農民」2002.2.25付)
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2002年2月

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