小泉版「米改革」米「生産調整研究会」、最悪の布陣でスタート
小泉版「米改革」を検討するための「生産調整研究会」が一月に食糧庁内に設置され、三月までに論点・課題のとりあえずの整理を行うことをめざして審議が進んでいます。 メンバーは二十二人。当初は減反政策の再編の技術的な問題を検討するため、「生産・行政関係者」だけで構成されるはずでした。ところがフタを開けてみると、高木元農水事務次官や立花経団連常務、加倉井前NHK解説委員、生源寺東大教授など、米つぶしの最悪の布陣。米卸・小売の団体は完全にメンバーからはずされています。 とくに高木氏は、食糧庁長官時代に米価暴落の原因となった自主流通米入札の値幅制限撤廃に踏み切り、事務次官を務めていた時に米の関税化(完全自由化)を強行した人物。加倉井氏が前NHK解説委員として政府のお先棒をかつぎ、農業・米つぶしの放言を繰り返してきたことは有名です。 加倉井氏は一月三十日に開かれた同研究会企画部会で(1)国産米の備蓄をやめて全量輸入米をあてること、(2)一俵(六十キロ)八千円程度の“最低価格支持”制度を導入すること、(3)減反を小規模農家にやらせて五ヘクタール以上層は減反計画に参加しなくてもよい制度にすることなど、「生産者から反発必至の『劇薬』をあえて」提言しています(同部会議事概要から)。
打ち破ろう政府のねらいこういう米つぶしの布陣をしき、(1)減反政策の再編については三月半ばには結論を出させること、(2)政府による米の供給・流通管理の責任を完全に放棄する計画流通制度の廃止については、米卸・小売団体に「説明」するだけで、農水省案を押しつけて、いま開かれている通常国会に「食糧法改定案」を提出するのが農水省のハラづもりでした。ところが第一回研究会(一月十八日)では、冒頭からミニマム・アクセス米が米過剰の原因であるという指摘が相次ぎました(宮田北海道農協中央会会長、広瀬滋賀県農協中央会副会長)。また減反の「一時廃止」論や「生産者選択」論も提案されるなど、研究会の議論は、農水省の思惑通りには進みそうもありません。 「研究会では農水省が示した期間にしばられることなく、日本の主食・米をどうするのか、幅広く議論すべき」(門伝全国農協青年組織協副会長)という意見も出ています。 石原葵食糧庁長官は「生産調整については、食糧法の改正が必要となるが、今通常国会への法案提出期限は三月中旬であり、これはあくまでも目標だ。研究会での議論が必要なものならば次の機会(臨時国会)を狙うこともありうる」と述べています(「米麦日報」一月二十一日)。 これは(1)小泉人気の勢いがあるうちに昨年中に「米改革」を強行しようとした戦略がつまずいたのに続いて、(2)ことし十一月までに減反政策の再編をねらう政府のねらいを打ち破ることができる可能性があることを示すもの。ことしを「米を守る大闘争の年」として宣伝や対話、単位農協・農業委員会などとの協力・共同を強める運動が求められています。 生産調整研究会メンバーは次のとおり
(新聞「農民」2002.2.25付)
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[2002年2月]
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