「農民」記事データベース20020225-528-01

イキイキ多彩な取り組みで

女性が運動の中心に

関連/“工夫する楽しみ”


 「自分たちがつくったものを食べてもらい、納得してもらって販路を拡大する」――。九、十の両日、東京・文京区本郷で開かれた農民連女性部の第十三回総会には、二十三都道県から八十一人が参加。女性ならではの知恵を生かしたとりくみで、農と食の共同を広げている多彩な経験が、生き生きと紹介されました。

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 和歌山県の寺本チエ子さんは、昨年、できたばかりの女性部をアピールしたいと、二カ月後の母親大会に弁当を作って出したとりくみを紹介。何度も何度も試作品づくりをくりかえし、なんとか二百食のヘルシー弁当を作りました。「評判はよかったけれど、大変なので続くかどうか。だけど日本中の母親大会で女性部が作った弁当が出回ることになったらうれしい」と元気です。

 「国産のよさをどう訴えていくか。ちょっとした料理でも作っていって、自分たちが作る国産品はこんなにおいしいし、安心して食べられるんだよと実感してもらうこと」と語るのは、長野・中信農民センターの倉橋美智子さん。

 「レシピをもって宣伝して、食べてもらうと売れる。いろんな人が話し合えばいろんなアイディアが出てくる」と、身近な運動の大切さを強調しました。

 三頭目のBSEが発生した群馬県で、酪農を営む住谷菊代さんが牛肉の産直を始めたのは、「そんなに安いのなら、なんとか手に入らないかねえ」という仲間の声がきっかけでした。熱心な肥育農家から比較的買いやすい牛を、一頭分けてもらい、加工してパックに。チラシをつくって呼びかけたところ、二百四十のパックが足りないくらい注文がきました。住谷さんは「政府への怒りをこめて損害補償の請求運動を進めたい」と述べるとともに、牛肉の産直に恒常的にとりくんでいきたい、と語りました。

 「税金相談会にいく前に勉強会をやったが、税金相談員として出かけたのは初めて。どちらが相談しているのかわからなくなることもあったが、二時間かかって一人分の収支計算を仕上げることができた。これから本番で忙しくなるが、とけこんでいきたい」と、千葉県農民連の専従になって一年足らずの若い小林朋子さん。

 二日間の討論について女性部長の高橋マス子さんは、「女性たちが農民運動の中核になりつつあると感じた。生産はもちろん、税金や組織の問題、BSEやセーフガードの問題にも女性たちが積極的にかかわってきていることがよくわかった。今後は、総合的な、顔の見える産直を広げていけたら」と、話しました。


山形県・北村山女性部会長の工藤美恵子さんが元気な発言

“工夫する楽しみ”

 女性の参加で品揃えの工夫が

 山形県の北村山女性部、たんぽぽの会の会長、工藤美恵子さん(48)は、昨年八月から十月の第二、第四日曜日にとりくんだ直売の経験を報告。

 村山市農民連が生協の組合員と始めたのですが、最初のうちは参加者は男性だけでした。

 その男性たちは、もってきた作物をただ並べて立っているだけ。その種類もジャガイモとカボチャというように限られています。生協の担当者からも「品物をそろえる工夫はできないだろうか」という声が聞こえてきました。

 「そういうところに気配りする女性を参加させないと、この産直はうまくいかないな。女性だってせっかく農業がんばっているのに」。そう考えた工藤さんは、農民連に入っている男性の奥さんたちに声をかけはじめます。

 集まるなかで女性部を結成

 女性も参加しはじめると、話に花が咲き、男たちは後ろの方でひっそり。女性部を立ち上げて一緒に産直をやろうと話がまとまり、昨年の十二月二十二日、女性部ができます。

 次の日の、正月向けの品物を並べた産直のにぎやかなこと。ほとんどが夫婦で参加、旗を振ったり、いろんな催しものをやったりで、男だけだったこれまでの産直とは大違いです。ただ残念なことに、宣伝不足でお客さんが生協の組合員に限られていました。「だから…」と、工藤さんは続けます。「総会が終わって山形に帰ったら、一般の人たちにどう広げていくか、また女性部で集まって話し合うことにしています」。

 産直のおかげでいろいろ学んだ

 夫の父親の後をついで、三年前から農業を始めた工藤さんは、昨年、産直をやったおかげでいろんなことを学びました。秋に、農民連の会員の家の前で始めた無人の直売所では、干し柿や大根、長ネギなどが見る間に売れました。小さいだけで市場に出せないリンゴも、一袋五、六個入りのものが三十から五十袋も売れます。

 また、北海道の友達の実家の直売所に置いてもらっている渋柿も、三十箱ほどさばけています。「自分で皮をむいて干して甘くする。そんな楽しみがあるから売れる」と工藤さん。そのほか、大根葉を塩ゆでしたものなど、「そんなの売れないよ」といわれるものでも、結構喜ばれています。

 作物そのもののおいしさを大事にした加工品はどうやったらできるか。「漬け物ひとつとっても、その家の味があります。みんな同じ味というのではなく、個性のある加工品ができないか」。

 いまそんな課題にとりくみはじめている工藤さんは、農民連全体で直売所らしいものにしていきたい、村山市で開かれるイベントにも積極的に出品していきたいと抱負を語っていました。

(新聞「農民」2002.2.25付)
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2002年2月

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