“農業にかかわりたい”奈良産直センターに若い2人の専従奈良県明日香村の奈良産直センターに昨年、二十代と三十代の青年が相次いで就職しました。高砂樹史(たかさごたつし)さん(36歳)、大塚雅史(まさし)さん(28歳)です。1月27日に開かれた県連大会でも組織や産直について活発に発言するなど、若い息吹で奈良県産直運動の新しい歴史を作り出し始めています。
「まだ三ヵ月、てんやわんや」大塚雅史(おおつかまさし)さん大塚雅史さんは、兵庫県尼崎市の都市計画コンサルタント会社で神戸の復興や村おこしのためのコンサルタントをしながら市民菜園を借りて野菜を作っていました。しかし、農業が好きだったからか、「村おこしは農業振興が不可欠だ。コンサルタントよりも、自分が主体的に農業にかかわりたい」と、退職、奈良に帰りました。 大塚さんの決意をさらにうながしたのは、福島県でイチゴ栽培をしている友人の父親の農業に真剣に取り組む姿を見たこと。奈良県連青年部長の杉岡章さんの呼びかけで一昨年の農民連青年部の交流集会に参加したことがきっかけでした。 それが若さというものでしょう。農業を学ぶために大分県の国見町へ六カ月の農業研修に行ってしまったのです。 研修を終えた大塚さんは、奈良で農業をしようと思いましたが、プロの農家でも厳しい現実に、地元の郵便局で郵便配達して働きながら「直接でなくも、なにか農業にかかわるもの」を探していました。 願いは通じるもの―。奈良産直センターの高砂さんから誘いの電話があり、「同じ配達なら、郵便物でなく野菜の配達の方が良い」と十二月、産直センターに就職しました。 新婦人産直を中心に注文受付、発注などをまかされている大塚さん―。「配達はしてないんですけどね。まだ三カ月なのでてんやわんやです。早く余裕を持って仕事ができるようになりたいですね」と、忙しくも毎日が楽しいようです。
「二反歩を借りて米作りも」高砂樹史(たかさごたつし)さん昨年八月に就職した高砂樹史さんは、夫人の直子さん(29歳)とともに劇団・わらび座の元団員。直子さんは主役も勤めていた女優です。座で結婚した二人は、長女の歩空(ぽから)ちゃんを身ごもったのを機に退団し、実家の生駒市に帰ったあと、農業に前から興味を持っていたこともあって、農業研修生として島根県柿木村に移住しました。「その年は最初からの米作りができませんでした。翌年、二反歩の田に苗を三日がかりで手植えをし、いい稲に育っていたんですが、途中で職員を募集していた奈良産直センターへ来ることになったんです」。 明日香村入谷(にゅうだい)地区。この急傾斜の山の中腹にある十八戸のうちの築百二十年の民家を借り、改築して住んでいる高砂さんの抱負は、今年こそ「農民として」、すでに借りてある二反歩の田に、米を最初から最後まで作ること。ゆくゆくはアイガモ農法をすることが夢だそうです。 また、直子さんと二人でときどき新婦人の集会や医療生協の老人保健施設で太鼓をたたき笛を吹いて、歌や踊りを披露するなど、文化面でもその力を発揮しています。 「センターでの営業・商談やボックス通信作成などの仕事は、生産者のみなさんとの触れ合いが楽しいんですよ」と、明るい声と笑顔が返ってきました。
(新聞「農民」2002.2.18付)
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[2002年2月]
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