「農民」記事データベース20020204-525-04

セーフガードの本発動と、狂牛病による損害補償を求める特別決議


 小泉首相、あなたに農民の痛みがわかりますか。

 「私たちはBSEの発生以来、『明日はわが身』という不安をぬぐい去ることができません。もし検査にひっかかったらと考えると、牛を出荷できず、行き先のない牛が牛舎にあふれてしまいます。このままでは、日本から畜産がなくなってしまいます」――北海道の酪農家の声です。狂牛病を引き起こした責任はすべて政府にあります。さらに農水省、厚生労働省の後手後手の対策と不信を広げる対応によって、事態は深刻さを増しています。

 農民連は、狂牛病発生以来、毎週、農水省や厚生労働省と交渉し、政府の責任を追及するとともに損害の補償と畜産経営安定の対策を要求して各地でたたかっています。しかし、今の政府の対策では経営再建の展望はひらけません。いま政府がやるべきことは、その責任を認め、牛肉価格の暴落による損害を全額補償し、畜産農家が安心して経営を続けられる対策をとることです。

 さらに輸入農産物の激増に苦しむ農民、そして安全な国内農産物を食べたいと願っている消費者の願いは、セーフガードによる輸入制限です。それは、千八百を超える地方議会がセーフガードの発動を求める意見書を採択していることにも明確に示されています。しかし、こうした多数の声を無視して政府は、十二月二十一日、長ネギ、シイタケ、畳表のセーフガード本発動の中止を決めました。これは、輸入農産物によって重大な被害を受けている日本農業の現実を無視し、国際的に認められた正当な権利すら放棄する重大な裏切り行為であり、断じて認められません。

 本発動を妨害したのは、小泉純一郎首相です。靖国神社参拝を強行して亀裂が生まれた中国との関係を修復するために、十月に訪中した際、「日中協議による解決」を約束したのです。ここに「改革」を叫んで国民に犠牲を押しつける小泉政治の本質があります。私たちは、中国のWTO加盟にともなって新たにもうけられ、発動が容易になった「対中特別セーフガード」の活用を含め、セーフガード発動を求めるたたかいに全力をあげます。

 北海道の酪農家は、こう決意をのべました。「私はこの大会に参加して、こんなに日本の農業を守ろうとする農民に出会えたことがうれしいのです。仲間と一緒に自然に抱かれながら大地に立ち続けます」。この思いはすべての農民の思いです。私たちは安全な国産農畜産物を望む、すべての国民と力をあわせ、日本の農業を守るために全力でたたかいぬく決意です。

 右決議します。

 二〇〇二年一月十七日

  農民運動全国連合会第十四回定期大会


各界からの祝電とメッセージ

▼全国農業教育研究会

(新聞「農民」2002.2.4付)
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2002年2月

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