雪印食品豪州産牛肉を国産に偽装畜産農家、消費者への裏切り行為
大手食肉メーカー「雪印食品」が、オーストラリア産牛肉を国産牛肉と偽り、買い取らせていたことが、一月二十三日、明らかになりました。これは、食肉市場でのBSE全頭検査が開始される以前に処理された牛肉を、国が全量買い上げて焼却処分するという制度を不正に流用したもので、明確な犯罪行為です。 この事件は、雪印食品が保管を委託する倉庫会社の告発で明るみになりました。雪印食品の社員が、オーストラリア産牛肉を国産牛肉の箱に詰め替えて、伝票を改ざんするなど、まさに確信犯です。 雪印食品は、インターネットなどで「本社が使っている牛肉は、オーストラリアやアメリカ産だから安全です」と、広告を出しています。一方で風評被害をばらまきながら、もう片方では、買い手がつかないオーストラリア産牛肉を国産に偽装して買い取らせる――これは、必死に努力している畜産農家と食の安全を求める消費者を、二重三重に裏切る行為です。 同社は、一昨年に集団食中毒事件を起こした雪印乳業が三分の二を出資する子会社。今回も儲かれば何をしてもよいと、食に関わる企業としての社会的責任を投げ捨てたために起きた事件であり、一昨年の反省はまったく生かされていないと言わざるをえません。 雪印食品の幹部は、「BSEの発生によって売り上げが三割も減り、非常に厳しい状況だった」と事件の背景を語っています。しかしそうであるならば、BSEを発生させた政府の責任を追及し、中小の精肉店や焼肉店などとともに損害の補償を求めていくべきです。 そもそもBSEを発生させた責任はすべて国にあります。この事件をきっかけに、農家や関連業者の損害の全額補償に踏み切るべきです。
住谷輝彦・畜全協会長の話大企業の倫理観、道徳心がここまで地に落ちたか、という思いだ。畜産農家はこの危機を乗り切るために真剣な努力をしている。群馬・榛名町では、教育委員会に牛を寄付して、PTAとも話し合い、学校給食に使ってもらって、消費の回復に結びつけようと話し合っている。そうした努力を台無しにし、牛肉に対する信頼を失わせる今回の事件には、怒り心頭だ。
BSE対策法草の根の運動で成立させよう野党4党の幹事長・書記局長が参加して開かれた緊急集会(1月25日・衆院第1議員会館)。野党提出法案の柱は、農家・関連業者の損害補償と廃用牛の政府による引き取り。国民運動を盛り上げ、成立させようと呼びかけられました。
(新聞「農民」2002.2.4付)
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[2002年2月]
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