――70年、親子3代――しめ縄作り新潟・岩渕勲さん(71)
親子三代、約七十年になるしめ縄造りをしている岩淵勲さん(71歳)。戦前の小作争議で有名な木崎村小作争議の始まったゆかりの地、新潟県豊栄市笠柳で稲作、果樹、野菜を栽培している農民連会員です。新潟農民連役員の渡辺憲一さんと訪ねました。 岩淵さんは開口一番、「戦時下、父親が七月に苗の青刈りをしていたところ、“米をとらず、しめ縄とは非国民だ”と警察署に呼ばれ始末書をとられた」と、しめ縄造りにまつわる話をしてくれました。 しめ縄造りは父親の代から始まり、最初の十年間は苦労の連続だったそうです。戦後は、昭和三十年代(一九五五年)から本格的に造るようになりました。当時はハス田の周りに植えられた苗を買ったこともあるそうですが、現在は、しめ縄用の良い苗を地元で育てています。七月中に青刈りし、午後六時から翌朝十時にかけ八十度の温度で機械乾燥すると、雑菌の繁殖を抑制し、青々とした色が保たれ、稲わらのドライフラワーのようになるそうです。乾燥のために使用する灯油は一晩でドラム缶二本、さらに出来あがった苗を束にして暗室に積んでおく電気代もかかります。 稲刈りなどの農作業が一段落する十一月に入ると、大工さんをしている息子さんが作った作業場で、勲さん夫妻、隣の集落で農業を営む息子さん夫妻、妹さん、近所の夫妻の七人が保管してあった苗を出し、しめ縄造りにかかります。 作業場は、苗の香りでいっぱい。一尺物から五寸きざみで六尺までの物、太さの注文や特別の注文もあります。全体で約千二百本を造り、主として地元の問屋に卸します。最近は、価格の安い輸入物の影響を受け、採算はやっとという状況です。尺八の名手で「農民歌」を得意としている勲さんは「いままでのつながりを大切にして、息子、孫へと引き継いでいきたい」と笑顔で語ります。
*岩淵さんへの問い合せは新潟県農民連へ(電話025-384-7133、FAX 025-384-7144)。 (新潟県連 松井三男)
(新聞「農民」2002.1.7付)
|
[2002年1月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224
Copyright(c)1998-2002, 農民運動全国連合会