拝啓 武部農林水産大臣様
「最後の最後までセーフガードつぶしにベストを尽くす」などという暴挙はおやめなさい暫定セーフガード期限が切れた十一月九日以降、ネギや生シイタケ、畳表の輸入が急増しています。この事実は、財務省が毎週発表する「モニター結果」からもまったく明らかです。武部農水大臣、あなたは、つい一カ月前には「九日以降輸入が急増した場合には信頼関係が失われ、話し合いによる解決は困難になる。もし中国との協議期間中に輸入急増があれば、機動的にセーフガード確定措置を発動する」と明言していました(十一月六日の記者会見録から)。 これは、どこから読んでも輸入が急増すれば、機動的にセーフガードを本発動するという意味です。 しかし、武部農水大臣、あなたは、十一月三十日には「一〜二週間の数字で直ちに急増と判断し、確定措置発動の条件と考えてよいかどうか」と言い出し、さらに「両国の首脳の話し合い解決という合意が一番重い。どれだけの数字になったから急増という判断は難しい」と、三週間前の発言をみごとにひっくり返してみせました。 あなたがこういうあり様ですから、あなたの部下も私たちが十二月四日に「中国との協議で解決すると言っているが、財務省の調査でも、暫定セーフガード期限切れ後の輸入は、輸入が急増した昨年の実績をはるかに上回っている。本当に農民の苦しみが分かっているのか」と迫っても、「協議は進展していないが、小泉内閣の方針に従うだけだ」と繰り返すばかりでした。 あなたは、同じ記者会見で、調査期限の十二月二十一日という「限界」に触れて「限界が近づいたとかなんとか言われるが、私はそう簡単に諦める男ではありません。最後の最後までベストを尽くす」と言ってのけました。 これは、私たち農民にとっては「諦めないで、最後の最後までセーフガードつぶしにベストを尽くす」という意味にしか解釈できません。 そうだとすれば、あなたと小泉首相は、WTO協定上の「義務」でもないミニマムアクセス米輸入を「聖域」にして最悪の米つぶし政策を立案し、WTO協定上の権利であるセーフガードは「ベストを尽くして」つぶしてしまった史上最低の農水大臣、史上最悪の首相として歴史に名を残すことになるでしょう。 中国もWTOに加盟しました。いつまでも中国にWTO違反を繰り返させてはなりません。私たちは、一刻も早くWTO協定上の権利を堂々と行使して、三品目のセーフガードの本発動と、あなたの選挙区も大産地であるタマネギなど輸入急増品目の調査とセーフガード発動を要求します。
(新聞「農民」2001.12.24付)
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[2001年12月]
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