セブン−イレブンの弁当類「保存料・合成着色料」排除のカラクリは?大手コンビニチェーンのセブン―イレブンは、今年十月から、弁当・惣菜・調理パンなど百五十品目から「保存料・合成着色料の排除」を始めました。しかし、早とちりは禁物。今回セブン―イレブンが排除したのは、二十種類以上(用途別分類)もある食品添加物のうち、「保存料」と「合成着色料」の二種類だけ。実際に弁当の表示をとくと眺めてみると、あいかわらず添加物はどっさり。このカラクリはどうなっているのでしょう?
そもそも食品添加物は、食べ物とはまったく違うもの。食べ物を工業製品化するなかで、製造しやすくしたり日持ちさせたり、色をよくしたりするために混ぜられるものです。現在、合成添加物が三百三十八品目、天然添加物は四百八十九品目が許可されており、このほか天然香料として六百十二品目が使われています。これらが用途によって、それぞれ保存料や着色料、酸化防止剤や調味料など二十種類以上に分類・指定されているわけです(表参照)。
毒性強い添加物を依然使用「合成着色料・保存料排除」を宣伝するセブン―イレブンですが、表示をよく見ると、毒性の強い添加物が相変わらずたくさん使われています。発色剤の亜硝酸ナトリウム((1))は、発ガン性や変異原性(遺伝子を傷つける毒性)があり、現在使われている添加物のなかで最も毒性が強いといわれています。また骨を弱くし、貧血をまねくリン酸塩((2))、臭素酸カリウム(発ガン性あり)など化学物質のかたまりのイーストフード((3))……。「安全」にはまだまだ遠い食べ物といえそうです。また、天然添加物もすべてが“天然だから安全”というわけではありません。細菌や鉱物など食べ物以外から抽出した成分や、不純物が混じっているもの(ステビアなど)、濃度が高いなどさまざまな危険性があります。カイガラ虫からとったコチニール色素(変異原性)や、発ガン性のあるカラメル色素などが現在も多用されています。 セブン―イレブン広報部は「お客さまからのニーズに対応したまでで、食品添加物の否定ではない。問い合わせが一番多かったのが保存料と合成着色料だった。そこでこの二種類は取り除けないかと原料、製造、運搬、店頭まですべての段階で温度や衛生管理を徹底した」と管理能力の高さを強調します。しかし「他の食品や添加物にまで“無添加”を広げるかどうかは、現時点ではまったく答えられない」とのこと。あくまで「添加物全廃」ではないようです。 農民連食品分析センターの石黒昌孝所長は「乳化剤やイーストフードなど、物質名を出さない一括表示や表示免除が多く、添加物を少なく見せている。塩分の表示がないのも不思議だ。また添加物が減ったといっても、コンビニ弁当は輸入材料を使った物が多く、もとの食材が安全かどうかが問題。材料の産地表示も必要だ」と指摘しています。
家庭栄養研究会蓮尾隆子さんのコメント消費者の声に応えざるをえなかったという点では、一つの前進ではあると思います。しかし消費者が望んでいるのは添加物を少しでも減らすことであり、使っているものを知りたい。原産国表示も必要です。食べ物は「安全・安定・安心」の三つが確保されることが必要で、生産過程のわかる地域産・国産のものを守ってこそ安定につながり、本当の食料の安全を得られるのだと思います。輸入しておいて添加物がないから安全というのではありません。消費者も賢くならねば。要求していくエネルギーが社会を変えていくのだと思います。
無添加強調は信頼損なう!?朝日新聞の報道(十一月十八日付け)によると、無添加キャンペーンを始めたセブン―イレブンに、日本食品添加物協会(味の素や武田薬品など九百六十社加入)が「無添加の強調は添加物への信頼性を損なう」と自粛を申し入れた、というのです。さっそく同協会に電話で問い合わせたところ「そういうことにはお答えできません」と一蹴。「そもそも食べ物だって化学物質からなる化学構造物。添加物はイメージでばかり非難されるが、ここ三十年間添加物による事故はない」と、露骨な警戒感を隠しませんでした。
*「セブン―イレブン」 (新聞「農民」2001.12.24付)
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[2001年12月]
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