野党四党狂牛病対策法求め集会来年一月国会冒頭に法案提出「国の責任は重大! 畜産農家や焼肉店などの損害を補償しろ」――民主党、自由党、日本共産党、社民党の野党四党は、十二月四日、国会近くの憲政記念館で「狂牛病対策緊急措置法制定決起集会」を開きました。同法案は、牛肉の消費低迷や価格下落で、畜産農家、流通・小売業者などが受けている損失分を、国が助成することなどが柱。野党四党は、来年一月の通常国会冒頭に提出を予定しており、早期の成立をめざしています。農業分野での野党共闘は、これが初めて。
集会では、「政府の対応はすべて後手後手」(鹿野道彦・民主党副代表)、「自民党政治は、国民の命に対して一番鈍感」(藤井裕久・自由党幹事長)、「政府の責任で補償すべき」(市田忠義・共産党書記局長)などと、各党の代表が発言し、「狂牛病汚染をもたらした国の責任は誠に重大」とする決議を満場の拍手で採択しました。 「なぜ、まじめに努力してきた我々が、こんな被害を受けなくてはならないのか」――農家を代表して発言した北海道の本田廣一さんの思いは、大きな被害を被っている農家、業者、消費者すべての思いです。 ところが、五日に開かれた衆院農水委員会で、野党の質問に対して「責任問題は調査検討委員会で議論している」と逃げてばかりいる武部農相。こうした態度が、不十分な対策・補償の大本になっています。
発生以前を基準に補償を明記――野党四党案野党が共同提出する法案は、狂牛病(牛海綿状脳症=BSE)発生以前の価格を基準にして、国が損失を補てんするというのが大きな柱。助成額は、過去三年間の平均価格との差額が検討されており、見つかった感染牛や疑似患畜の処分に対する補償にも適用されます。四日、農民連、食健連などが行った農水省との交渉で、茨城の酪農家、本田豊さんは「いま酪農家は、ひょっとしたらBSEに感染しているかもしれないとおびえ、自分の牛を市場に出せないでいる。見つかれば全頭殺処分され、補償が定かでなく、廃業に追い込まれるからだ。このままでは牛の更新ができず、日本の酪農は壊滅する」と訴えました。 また、埼玉・東松山市で四百五十頭の肥育経営を営む国分衛さんは「農水省は価格の下落を四〜五割などと軽く言うが、農家の損失はそんなものでない。肉の等級が下位に集中し、四十万円していたホルスのオス牛が十万円、四分の一だ」と被害の深刻さを、怒りを込めて発言。栃木の海老原恒夫さんは「この状態が二カ月続いたら、すべての畜産農家がつぶれる。現場の苦しみを聞いて、もっと迅速に対応してほしい」と、政府の姿勢を厳しく追及しました。
日本共産党 中林よし子衆院議員の話二頭目が見つかった北海道猿払村に現地調査に行っている時に、群馬で三頭目が発生した。「どの農場からもBSEの牛が発生する可能性はある。ギリギリの経営のなかで、しっかり補償してほしい」という猿払の酪農家の思いは、全国の農家が抱える悩み。苦しんでいる農家をまったく見通しがないまま放置するわけにいかない。法案の成立に向けて、国民とともに全力をあげたい。
(新聞「農民」2001.12.24付)
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[2001年12月]
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