演劇こまつ座井上作品「連鎖街のひとびと」終戦直後の中国・大連が舞台
こまつ座は井上ひさしの作品「連鎖街のひとびと」を上演します。昨年六月に初演、再演の声にこたえて実現したものです。井上ひさしは太平洋戦争のころを舞台にした戯曲をかきつづけ、「闇に咲く花」などの昭和庶民伝三部作をはじめ、「父と暮せば」「紙屋町さくらホテル」「夢の裂け目」など、戦中・戦後の庶民の姿を描いて感動的な作品を誕生させています。 「連鎖街のひとびと」もまた終戦直後の満州(現・中国東北部)南端の地・大連を舞台に、喜劇の要素を駆使しながら、われわれの想像をはるかに超える物語の展開をみせた大作です。大連の今西ホテルの地下室で二人の劇作家(辻萬長・木場勝己)が絶体絶命のピンチにおちいっていました。ソ連軍の命令で芝居をつくらなければなりません。ホテルの支配人(藤木孝)やスター女優(順みつき)、元文化担当官(石田圭祐)らも加わり、「大ウソ」の芝居をつくりあげていきます。笑い、スリルとサスペンス、恋物語…と進行していきます。 演出の鵜山仁さんは「再演で新しくしようと思っても新しくはならないですよ。ただ、初演に何かが+αできればすっかりいい。せりふが全員の財産ですから、膨大なせりふをみんなで分かち合う、せりふのキャチボールをできるだけ沢山していく、そういう意味でもアンサンブルを重視しています。戦後すぐの大連という街にはコミュニティーの喪失感があった。これまでの立場、職場を奪われてしまって、一人一人が新しい仕事の回復を求める、そのスタートラインに芝居があった。今回の舞台には、世界の激動を、どのように逞しく生き抜いていくかという知恵が込められていると思う」と語ります。出演はほかに中村繁之、松熊信義、朴勝哲。 (鈴木太郎)
*12月12日〜23日、東京・新宿・紀伊國屋ホール。1月6日山形・川西町、24日〜28日北海道各地。連絡先=こまつ座TEL03(3862)5941 (新聞「農民」2001.12.10・17付)
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[2001年12月]
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