「農民」記事データベース20011203-519-06

全税関差別裁判・横浜事案勝利確定

最高裁、国の団結権侵害を断罪

上山興士(全税関委員長)


 私たち全税関労働組合は十月二十五日、二十七年間たたかい続けてきた「税関賃金差別裁判」で、財務省(旧大蔵省)・関税局の違法行為を断罪した歴史的な最高裁判決を勝ちとりました。

 全国の農民連のみなさん。農業情勢がきわめて厳しいなか、物心両面から支援・激励をいただき、本当にありがとうございました。

 最高裁第一小法廷は、横浜事案について、国による全税関への団結権侵害を認め、二百五十万円の支払いを命じた二審判決を支持、国の敗訴を確定させました。この判決は、最高裁判所が公務員の労働組合に対する国の違法行為を明確に断罪した初めての判決であり、画期的なものです。

 しかし、一方で最高裁は大阪・神戸の事案は「当局に組合差別の意思までは認定出来ない」とする矛盾した判決をだしています。

 裁判で明かにされた関税局や東京税関のマル秘文書にあるように、全税関に対する分裂・差別攻撃は、大蔵省・関税局の指導で行われたことは明白です。そのことは、今回、最高裁の深沢裁判官(弁護士出身)が神戸・大阪についても当局の「支配・介入があった」として、審理を大阪高裁に差し戻すべきだとの反対意見を述べていることでも明かです。

 この裁判は一九七四年六月、東京・横浜・大阪・神戸の四支部と四百三十名の原告が四億五千万円の損害賠償を求め提訴したものです。それ以来二十七年、地裁、高裁で三百七十五回の公判を重ね、約四十万の個人・一万の団体署名、三千名の東京・日比谷野音大集会などを成功させ、展望を切り開いてきました。

 横浜事案の勝訴確定は、全税関労組全体の汗と涙の結晶だと確信しています。同時に、三千個のおにぎりの差し入れや農村での署名活動など、農民連の取り組みがどれだけ励みになったか計り知れません。

 現在、東京の事案が最高裁に上っていますので、私たちは東京の勝利に全力をあげたいと思っています。

 私たちは、いま当局に対し、この間の違法行為を心から反省し、二度と過ちを繰り返さないために、(1)全税関労働組合および原告に謝罪すること、(2)組合員に対する昇任・格等の差別を是正すること、(3)裁判を自主的に解決し、労使関係の正常化をはかることを要求しています。

 全国のみなさんの引き続く、ご支援を訴えるものです。

(新聞「農民」2001.12.3付)
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2001年12月

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