暫定セーフガード期限切れ後、1週間大量の輸入で、産地の打撃必至中国への異常な気遣いぶりの小泉首相
財務省は、十一月二十一日、暫定セーフガードの期限が切れてから一週間(十一月九〜十六日)の、ネギ、生シイタケ、畳表(イグサ)の輸入量を公表。わずか一週間で、暫定期間中の一カ月分を上回る大量の輸入が行われたことが明らかになりました。 十一月二十二日の東京・築地市場には、中国産ネギ、生シイタケの積荷の山が、いくつも。「生シイタケは期限切れ後の初日が二千ケース、その後も毎日約千ケースの入荷があり、特に目立つ。ネギも昨日から四百ケースくらいに増えて、暫定セーフガードの枠をもらわなかった業者も輸入している」と市場関係者。また、仲卸は「入荷は少ないが、輸入ネギはほとんどが市場外流通。そうしたものに外堀を埋められる影響は大きい」と口をそろえます。 財務省の公表によると、暫定発動が切れた九日から十六日までの輸入量は、ネギが千三百十二トン、生シイタケが二千二百七十五トン、畳表が二千三百四十八トン。暫定発動中(四〜九月)の一週間の輸入量は、平均でネギ二百六十四トン、生シイタケ二百十四トン。期限が切れたとたんに、ネギは五倍、生シイタケは十倍以上に輸入が急増しました。 ネギの輸入量は九月までにすでに一万八千トン。このままのペースで輸入が続けば、年間では二万五千トンを上回り、これから需要期を迎える産地への影響は必至。ネギの一大産地、埼玉北部の深谷市など大里・児玉地区の十二の市町村長が連名で本格発動を求める要望をするなど、産地の声は強まっています。 ところが小泉首相は、輸入量を公表する前日の二十日の閣議で、わざわざ「話し合い解決にむけて最大限、さらに努力するように」とクギをさし、閣議後の記者会見では、武部農相も「話し合いで解決しようと言っている以上、辛抱が必要」と同調。日本の農民には一方的に辛抱を押し付け、中国には「あまり細かい数字(本発動の判断基準)を準備することは、話し合いで解決する気があるのかと疑念をもたれる」と、異常とも言える気遣いぶり。 首相はさらに、二十二日の日中局長級協議が物別れに終わってもなお、「話し合い解決に努力する」と繰り返し、あくまで産地の願いに背を向ける態度を鮮明にしています。 本来、暫定発動は本発動が大前提であり、十月二十四日の農水・財務・経済産業・外務の四大臣の話し合いでも「中国との協議中に輸入が急増した場合、機動的に本発動する」と確認しているのですから、速やかに本発動すべきです。
(新聞「農民」2001.12.3付)
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[2001年12月]
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