「農民」記事データベース20011126-518-02

第9回畜全協総会

食の安全と畜産経営守る運動を

 国内初の狂牛病発生で消費者の肉離れが続き、畜産農家の経営が存亡の危機にあるなか、政府と精力的に交渉をするなど、畜産酪農経営を守るために運動している畜産農民全国協議会(畜全協)が十一月十三日、第九回総会を東京都内で開きました。


 「『臭い』と、近所から苦情が出ていた養豚農家の同級生が自殺した。畜産をやめるタイミングを計っている人もいる。これら農家を全部訪問し、おおいに話し合うつもり」(茨城)、「肥料を使う方の要望に応えるのも大事。肥料を三十戸の畜産農家が作り、JAの肥料分析センターでの結果をインターネットで公開し、堆肥マップを作っている」(福島)、「共同で飼料畑にした後作のハクサイやタマネギの出来が良かった」(群馬)―など畜産を守るために奮闘する会員の姿や、循環型農業の重要性が次々に報告されました。

 狂牛病問題では「失った消費者の信頼を取り戻すのは大変なエネルギーが必要だ。循環型農業の大切さを国民に理解してもらうことが大事」(群馬)、「狂牛病は現在進行形で人体実験をやっているようなもの。輸入依存の食糧政策を抜本的に変えなければ」(宮城)などの発言があいつぎました。

 O-157、口蹄疫、狂牛病らは、すべて輸入の肉や飼料に起因するもので「いくら検疫制度を使っても輸入されるもの全部は検査できない」こと、北海道の「マイペース酪農」や安全な自作の牧草やコーン飼料で肥育して産直に出している実践などに学び、家畜の生態と自然の摂理にあった飼育方法や地域でのシステムづくりが必要ではないかとの提起もありました。

 新年度の方針として、(1)狂牛病の原因究明、再発防止、全面補償などの万全な対策を求める運動、(2)食の安全と畜産農民の経営を守る運動、(3)価格保障、税金引き下げなどの要求実現、畜産農民の研究交流・情報交換など、畜産農民のネットワークづくり、(4)産直運動の拡大、(5)組織や個人会員の拡大、財政強化を実現し、国内畜産の再構築をはかることを確認しました。

 新役員には、会長に群馬の住谷輝彦さん(酪農)、事務局長に静岡の森島倫生(みちお)さん(養豚)らが選出されました。

(新聞「農民」2001.11.26付)
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2001年11月

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