安い農産物の向こう側タイの農村はいま山本 博史
十五年ぶりの米価暴落十一月からはじまる雨期作米の収穫が近づくにつれて、タイ国内の各地で、政府買上げ価格の引上げを要求する農民の運動が激しくなっています。十月二十二日から翌二十三日にかけて、東北タイの香り米主産地であるスリン県では、約五百人の農民がハイウエー(国道)に米袋を積み上げ、トラクターやトラックを置いて交通を遮断、政府介入価格の引上げを要求しました。 千三百七十四万ドルの基金をもとに輸出業者の欠損補填を行っているベトナムの低価格米輸出促進策や、インドの政府支援による安売り、中国政府による米輸入関税の引上げ、一九八一年以来二十年間続けられてきた香港のタイ米輸入協定の打ち切りなど、タイ米の輸出市場は、極端に狭くなっています。 その結果、タイ米輸出価格(二五%米のトン当りFOB)は、九七年の二百九十ドルから百五十ドルに低下、タイ政府は百九十万トンの在庫を抱えることになりました。 在庫減らしのために政府は、トン当り四千七百バーツで農民から買取った米を、モミ換算三千バーツに当る百四十二ドルでフィリピンに十五万トン輸出、多くの輸出業者から「マーケット・メカニズムに混乱を与えるもの」と批判されています。 この十五年ぶりという国際価格低落を反映して、国内でも米価は暴落し、精米業者の買取り拒否があいついでいます。 (つづく)
(新聞「農民」2001.11.5付)
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[2001年11月]
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