「農民」記事データベース20011105-515-04

狂牛病 政府は責任を認め対策に全力をあげろ

全国食健連、農民連、商サ連などが要請

 「政府は責任を自覚して、万全の対策を」――十月二十四日の農水省交渉(農民連、全国食健連、国民大運動実行委員会、商サ連)では、狂牛病発生の責任を認めようとしない農水省の答弁に対して、参加者の怒りが爆発しました。農民連がこの問題で農水省と交渉するのは発生以来五回目。


 「牛が売れないのに借金の返済を迫られているわれわれ畜産農家にとって、この問題の打撃はテロと同じだ」と井沢満州男さん(北海道農民連十勝地区協議会副議長)。農民連の笹渡義夫事務局長は「政府の責任を明確にしないから、打ち出される対策も中途半端なものになっている」と追及しました。

 過去三年の平均価格を補償しろ

 「枝肉価格が一キロ三百円も下がり、一頭では十三万円の損失。子牛も六万五千円の暴落。過去三年間の平均価格をもとに、政府が差額の全額補償をすべきだ」と、会員の畜産農家の窮状を聞いてまわった宮崎県連の村尻勝信書記長。北海道から参加した酪農家は「一頭三〜四万円していたヌレ子(乳牛の雄子牛)が一〜二千円に。ヌレ子対策も必要」と訴えました。

 しかし、交渉で担当者が「間もなく打ち出す」と答えた対策は、まったく農家の要求とかけ離れたものです。政府が補償するのは、割り込んだ物財費分だけで、農家の生活費はいっさい出ません。既存の対策(肉用牛肥育経営安定対策)と合わせても家族労働費の八割まで何の罪もない農家に二割の賃下げを強要するものです。

 安全な肉しか流通させぬ対策を

 風評による市場価格の暴落もすべて政府の責任。「検査前にと畜した牛肉を、政府の責任で全量買い上げて処分しろ」「消費者に安心して牛肉を食べてもらうようにしなければ、畜産経営は立ち直れない」といった声が次々と出されました。

 ところが、農水省の担当者は「検討中」を繰り返すだけ。遠藤・農水副大臣は二十二日に「全頭検査前の牛肉を焼却処分すれば、今までの肉は安全じゃなかったのかということになる。そんなことはできない」と記者会見しました。

 しかし、これはアベコベな話。たび重なる政府のいい加減なやり方に消費者が不信を抱いており、処分しなければ「いつ食べさせられるか分からない」と厳しい目を向けている状態を放置したままで、牛肉の消費回復など望むべくもありません。

 農水省がまっ先にやった対策は有利子(一・六%)で償還期間が一年しかない融資。図体(枠)は大きいが、農水省が補給する利子は一・〇一%に過ぎず、負担する金額はわずか五億円。青森県農民連の須藤宏さんは「こうした対策自体が、農家の被害の大きさを分かっていない証拠」と厳しく追及し、無利子で償還期間の長い融資にするよう要求しました。

(新聞「農民」2001.11.5付)
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2001年11月

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