地域と集落の農業を守る営農組合作り奮戦記新潟県連会長 町田 拡
高齢化と後継者難で農村の山間地はどこでも大変な状況になっていますが、私の住む新潟県笹神村の須走(すばしり)集落では、上須走営農組合を立ち上げ、トラクター、コンバインを共同で利用したり、畦塗りや大豆栽培の受託作業も行い、地域や集落を守る取り組みとして注目されています。 私の集落は、種籾の塩水選や用排水路の掃除などの作業を毎年共同で行っています。二年ほど前、共同作業の終わった慰労会の席上、農政や農業のやり方について話題になりました。そして「国や県が進める農家首切りの担い手育成ではなく、農業をやりたい人、続けたい人、専業・兼業問わず協力し合えるような組織が必要だ」ということになり、私がその原案を作るよう大変な宿題を与えられました。 丸一年かけて県内の組織をはじめ農民連本部にも問い合わせるなどして、どうにか規約の原案を作成しましたが、約三十戸の集落全員が参加する合意は得られず、二の足を踏む状態でした。しかし、実行できることから始めようと、集落内の大豆栽培(五・五ヘクタール)の播種などの作業を引き受け、好評だったので注目を集めました。 なんとしても営農組合を作りたいとの思いを強くしたのは、今年一月に開かれた農民連第十三回大会に参加して。二月の新潟県連大会直後、佐渡島へオルグに行きました。六十五歳以上の農業従事者が八割を占め、後継者がいないなど、私たちの集落と重ね合わせてみると、あまり大差がないことを改めて気づかされ、「生産の助け合いで地域を守ろう」、そして「広範な農民に目を向け、視野を広くもって集落・地域農業を守る運動を」の大会報告の重要性と緊急性を痛感。まず、自分の集落でどうしても営農組合を作る決意をしました。 さっそく集落の有志に話しかけ相談したところ、まず希望する人から出発することになり、今年三月に五人で立ち上げました。 私は三月村議会で「集落営農組合は地域や集落を守るためにも重要な役割を果たすので、村当局も支援するように」と質問。佐藤村長や農林課長から積極的に奨励するとの答弁がありました。 営農組合では、いま八・五ヘクタールの大豆栽培の受託作業を予定通りに終えました。立ち上げてから七カ月しかたっていませんが、集落の全農家が加入する組織に発展するよう、これからも努力していきます。
新潟県笹神村農林課長披田野勝幸さんの話生命産業としての食料農業生産、安らぎと潤いを提供する農村の存続のためには、農業者の存在が不可欠であり、本村の農業振興施策の中でも農業後継者、大規模農業者の育成はもちろんのこと、小規模でも意欲ある兼業農業者なども大切な担い手と位置づけ、確保・育成と支援施策を展開しています。とりわけ規模の大きい担い手も兼業・高齢農業者も一緒になった「集落営農」の組織化を関係機関一体となって推進しています。 低迷する農業情勢、迷走する国の農業施策の中で、いかに食料・農業・農村の振興を推進するかは、地域の大きな課題ではありますが、この課題の解決には、担い手も兼業・高齢農業者も一緒になった地域の実情にそくした「集落営農」を推し進めることが大切であり、有効な手段と思っています。 今後もよりいっそう、関係機関とも連携しながら、独創性豊かな多種多様な「集落営農」の組織化を推進していくことにしています。
(新聞「農民」2001.10.22付)
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[2001年10月]
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