安い農産物の向こう側タイの農村はいま山本 博史
国王陛下の発言登場内陸水田地帯におけるエビ養殖解禁の是非は、ついに国王陛下の登場となりました。CPグループ会長元秘書であるピタック副首相が、日本向け輸出拡大による外貨獲得のために内陸部のブラックタイガー・エビ養殖解禁を提案したのが七月下旬。塩害による土壌・水質汚染に反対する稲作農民や研究者・市民組織などの批判によって、政府は科学技術環境省の環境保全委員会による調査結果待ちの状態になっていました。一方では、「養殖再開許可地域を限定し、排水管理を厳重に義務づければ問題ない」という業者・政治家の声も多く、何らかの妥協策として部分的解禁が認められそうな状況もつくり出されていました。 ところが、九月十九日の環境保全委員会主催の公開討論集会を前に、状況が一変。プミポン国王の「海水を運んで行う内陸部でのエビ養殖には賛成できない」という発言が、マスコミで大きく取り上げられたのです。 この国王発言は、八月二十二日にホアヒンの離宮にCPグループのトップを招いて会談した時のもの。この発言が非公式の国王談話集に記録され、賛否双方の代表が参加する討論集会前にリークされたのです。 討論集会は、解禁支持の業者代表の多くが欠席したまま開催されました。環境保全委員会は、この討論集会で出された意見も参考にして、十月九日、内陸部でのえび養殖を引き続き禁止することを決定しました。 (おわり)
(新聞「農民」2001.10.22付)
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[2001年10月]
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