「農民」記事データベース20011015-512-07

高校生らの農業体験

“農家の人は、えらいです”

茨城・阿見町有機センター

 茨城県つくば市の私立茗渓学園高校の一年生たちが九月二十七日、一日農業体験をしました。そのうち今回で四年目になる県南農民組合阿見町有機センターを訪れた生徒たちに密着取材しました。

 机の上の学習に追われる進学校の生徒たちには青空の下、得難い体験学習になったようですが、アメリカへの同時テロを口実にした警戒なのか、武装しているらしい陸上自衛隊のヘリコプターが頭の上を単機、あるいは二機編隊で一日中バタバタ飛び回っていたのが不気味でした。


 生徒たちは六〜七人の班に分かれ、農民組合員の畑で農作業をし、午後は座学で質疑応答をしました。

 中島悟さん(30)の畑ではまずダイコンの間引き。「ダイコンはこれ。それはトウモロコシだ。抜いてもいいけどよ」など、はじめは勝手が分からない様子でしたが次第に慣れて、班長の白川衆君(15)は「こんな広いところ初めてで、足腰が痛い。農家の人はえらいです」。

 大塚康夫さん(53)の畑では、サツマイモの収穫。掘った二十キログラムのイモをコンテナに入れて一人で運ぼうとする男子生徒に、夫人が「二人で協力して運べば楽なんだよ」とアドバイス。初めてオクラの“木”を見てびっくりし、落花生の収穫作業で「へぇ落花生はこうなってるの?」と驚き、「今なら実を生で食べられるよ」といわれて恐る恐る口へ。「ウワッ、なんだこりゃ」と変な顔をしていました。

 物置の日陰で落花生の実を取りながら「いつもは父ちゃんと“二馬力”だけど今日はあなたたちの“七馬力”が増えて“九馬力”あるから作業がはかどるよ」と褒められ、倉庫内の大型コンバインを見ながら「昔の稲刈りは手だったが楽になった。しかしこれ、六百万円もするんだよ」との説明に、班長の金沢圭一君(16)は「こんなにいろいろなものを作ってるのに二人では大変だと思います」と感想を述べていました。

 椎名誠一さんの畑に行った二つの班はダイコンの種まきとハクサイの定植を手伝い、「頑張りすぎて腰や足が痛い」といいながら、有機農業と肥料や農薬、農作業の時間、後継者、豊作と凶作などについて椎名さんに質問、日本より低い賃金で作られる中国などからの輸入増で農業がたいへんなことなどを学びました。

 引率の先生にお聞きすると、これは政治経済の授業のいっかんで、春には裁判所見学、秋が農業体験だということで、教室でガットやWTOなど農業についての事前学習をしてあるとの説明に、学校と先生方の取り組みに連帯の拍手を送りたくなりました。

(冨沢)

(新聞「農民」2001.10.15付)
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2001年10月

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