遺伝子組み換え食品の表示 消費者らが調査知らない間に食卓に遺伝子組み換え食品の表示義務化が、今年四月から豆腐、納豆などごく一部の食品について始まりましたが、現在の流通制度と表示実態には大きな問題があることが、大手メーカーへのアンケート調査とスーパー等での実態調査で明らかになりました。
「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」、アシードジャパン、日本消費者連盟は共同で、しょうゆ、植物油、ビールの最大手メーカー十六社(詳細別 表)に、「遺伝子組み換え原料を使っているか」「原料が遺伝子組み換えでないことをどうやって確認しているか」などのアンケートを行い、百十九商品について回答を得ました(回答率一〇〇%)。
調査の結果、植物油メーカーでは三十六製品の一〇〇%、しょうゆメーカーでは五十二製品中、六〇%の商品で不分別(=つまり分別流通させていないので、遺伝子組み換えが混ざっているかわからない)の原料を使用していると回答。 また遺伝子組み換えでない原料を使用するすべてのメーカーが、その確認は「IPハンドリング(分別生産流通管理)」と呼ばれる集荷・運送業者の分別管理に頼っていることが明らかになりました(ごく一部の企業のみ自社分析、第三者機関の分析も行っている)。今年五月には、「非遺伝子組み換え」の証明書付きのジャガイモを使用したハウス食品のポテトチップから、未承認ジャガイモ「ニューリーフプラス」が検出され回収命令が下った事件が起きたばかりですが、この事件からも「IPハンドリング」の信頼性は、大きく疑われています。 またスーパーなどで市販されている豆腐、味噌、コーン菓子など九百点あまりの商品の表示状況を「いらない!キャンペーン」が今年六月から八月にかけて調査しましたが、「現在の表示制度はわかりにくく、消費者の選択の目安になっていない」ことが判明。「いらない!キャンペーン」は、「“使用”“不分別”のみが義務表示で、“不使用”が任意表示(してもしなくてもよい)になっていることが、わかりにくくしている原因」と指摘しています。 現在、世界に出回っている遺伝子組み換え作物はダイズ、トウモロコシ、ナタネ、綿、ジャガイモの五作物。とくに多いのがダイズとトウモロコシです。その大半が家畜飼料用、輸出用に向けられていますが、ヨーロッパは遺伝子組み換え「拒否」の国民世論からほとんど輸入していないため、食料自給率の極端に低い日本が世界最大の遺伝子組み換え作物の輸入国となっています。 「キャンペーン」代表の天笠啓祐さんは、「組み換え作物の行き先は、植物油、油を使ったマーガリン、マヨネーズなど表示が義務づけられていない加工食品となって、消費者が知らない間に食卓にのぼっている」と指摘しています。
(新聞「農民」2001.10.8付)
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[2001年10月]
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