「農民」記事データベース20011001-510-08

生産・流通こぼれ話

「大きいこと」に思わぬ落とし穴
イキイキと商売成り立つ世の中に


●小学校のクラス会を今年もおこなった。もう五十一年も続いている。「ひとりの話をみんなが聞く。みんなが一言ずつ話をする」、そんなことで結構長く楽しく続いている。

●Y君は水産仲卸の社長である。「うちのお得意さんは町の寿司屋だが、客も出前も少なくなり、ひどい状況だ。うちは兄弟身内でなんとかやっているが…同じ学年のSちゃんの店のことを知っている?一週間前に倒産してしまった。築地の水産仲卸では最大手で、全国に営業を広げていた。○○寿司チェーン店に、そうとう注ぎ込んでやられてしまったらしい。あんな大きな店が!」。

 去年船橋市場で、大きな青果仲卸が倒産した。大手スーパーDに引っかき回されたという。

●昔はたくさんお得意さんがいて、一軒二軒の売り掛け倒れは、気にならなかった。今は一軒大きな客(スーパー、量販店など)をつかむと、そこだけにかかりっきりになる。相手が傾くと、こちらは「それまで」となってしまう。「大きいことは良いことだ」には、思わぬ大きな落とし穴があった。「寄らば大樹の影」は昔のこと。今は「寄らば大蛇に飲み込まれる」。

●山椒は小粒でも…イキイキした商売が成り立つような世の中にしたい。大きさでは物は計れない。まして人間は、金や地位、職種などでは計れない。一人ひとりを大切にしながら、これからもクラス会を続けていきたい。

(生産流通対策部 佐藤龍雄)

(新聞「農民」2001.10.1付)
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2001年10月

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